親猫

気分屋

プロローグ

 ジャパリパークのキョウシュウエリア。


 ここではフレンズと呼ばれる女の子になった動物たちがたくさんいる、みんな仲良く名前の通り友達フレンズとして過ごしている。


 ここには変わった家族がいる。


 一般的に言う “家族”。


 父と母と子、という意味でならそう珍しくもない。


 まず当然だが父は男性である、しかしどんな動物もフレンズとしてメス化するパークに置いて男性がいること事態が珍しいことではある。

 しかも彼は見た目こそ人間だが、雪のようにフワリとした白髪の頭には猫耳があり、後ろを見てみれば尻尾も生えている。

 

 男性でありながら姿はフレンズ、これは極めて異例である。


 一方そんな彼の妻はゆったりとパーマのかかったような黒く長い髪を風に揺らす可愛らしい女性。

 彼女には獸の耳や尻尾はない、フレンズ流に言って蛇の子のようなフードもなければ鳥の子のような羽も見当たらない… が、フレンズである、彼女はヒトのフレンズ。


 名を“かばん”という。


 そんな二人には子供がいる、双子の男女で兄の方は黒髪で母によく似ており妹の方は白髪で父親によく似ている。


 現在二人は3才、やんちゃ盛りな手の掛かる時期だ。


 兄は“クロユキ” 妹は“シラユキ” と名付けられている。



 四人はジャパリ図書館の小さな家に住んでいる、彼らの他にはサーバルキャットのサーバルと、アフリカオオコノハズクの博士、ワシミミズクの助手がいて、主に父親が作る料理を食べて皆で楽しく暮らしている。


 平和の日常なのだ。


 父親の名前は “ユウキ”。


 パークの住人は彼のことを、その姿から親しみを込めて“シロ”と呼んでいる。


 彼は人間とホワイトライオンのフレンズの間に生まれたハーフである。



 そしてそこそこ腕のいい料理人であり。



 妻と子供をこよなく愛している。



 そんなシロは今日もやんちゃな双子に振り回されながら言った。


「こぉらクロ!パパの耳を引っ張らないで!ユキも!尻尾はパパの弱点なの!」


「「きゃぁハハハハ!」」


 子供にもみくちゃにされる父親シロを眺める島の長、昔の図書館では考えられないほど賑やかだが… 二人はこう言うのだ。


「日常ですね」

「そうですね、日常なのです」


 そう、これは日常。


 ジャパリパークは今日も平和である。

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