Familia Crear On-Line 2

 視界が明るくなり、街並みが浮かび上がってきた。次に声や匂いを感じた。

 最初の街、プリメロに来たようだ。名前の由来はスペイン語で最初を意味する。

 ここは街にある初期リスポーン位置の一つ。北にあるアイギスの楯の像に設定されている。南には、トリアイナの三叉槍。東と西にはアスクレピオスの杖とヒュギエイアの杯がある。初めてゲームをするときにランダムで選ばれるようだ。


 楯を背に当たりを見渡す。楯を中心に広めの広場があり露店市場として機能している。時間は太陽がほぼ真上に来ているので昼食のためだろう。人がごった返している。

 そのまましばらく観察していたら、人ごみをかき分けてこちらに向かってくる人影が見える。

 その男は鎧をまとっており、右胸にペガサスの絵が彫られていた。この街の兵士だろうか。


「君は、新しい移住者だね。私はこのあたりを警備するものだ。人間種なら何も言わないんだが、君は精霊種だから声をかけたんだ。少し大丈夫かね」

 入ったばかりで特にすることもないので話に応じる。

「大丈夫です」

「そうか、ありがとう。場所を移そう」

 そう言って連れて行ったのは露天市場の食事場だった。市場を埋め尽くすのではなく、所々このような場所があった。

 椅子に座らして、兵士は一つの露店に向かった。何かを買っているようで、帰りの手には何か持っていた。


「林檎だ。食えるか?」

「大丈夫だと思います。けど、何で聞いたんですか?」

 普通なら食べるか?と聞いてくるものだと思うが。

「ああ、精霊種は基本的に実体がないのが多いが、君は実体がある。そこも含めて聞きたいことがあるから声をかけたんだ」

「そうですか。食べられるかどうかわかりませんが有り難くもらっておきます」

「そうしてくれると助かる。買ってきたものを無駄にするわけにもな」


 兵士は林檎を食べながらだが、佇まいを正し自己紹介をする。

「改めて、私はロベルトという。よろしく頼む。君の名前は何というんだい」

「私はスノーアです。よろしくお願いします」

 お辞儀をするとロベルトも返してくれる。

「まず、いくつか聞くことがある。気分を悪くする質問もあるかもしれない。その時は答えないでいい」

「わかりました」

「よし。じゃあ、君は男性か?それとも女性か?」

 聞かれたことに少し戸惑う。

「すまんな。話を聞く場合はこれを最初に聞かなければいけないんだ。答えによっては質問を変えるからな」

「私は特に気にしません」

「そうか。で、どっちだ」

「私は男です。キャラクターメイキングでこのアイシクルになったので。アイシクルには女性体しかいないそうです」

「そうなのか。精霊種にはわかっていないことが多いからな。女性体しかいない種もあるのか。いや、男性体しかいない種があると分かっているからあり得ることではあるのか」


 考え事をしていて、少し落ち着いたのか。顔を上げる。

「すまない。少し考え事をしていた」

「大丈夫です。あと、林檎は食べられました」

 待っている間、暇だったのでもらった林檎を食べられるかどうか試していた。結果は食べることができた。

 ただ、林檎を食べようとしたとき、林檎が凍った。食べかけの林檎を見せると、少し驚いた表情を出した。

「アイシクルはそうやって食べるのか。君が自分でしたわけじゃないのだろう?」

「はい。口に運ぶときに凍りました」

「そうか。って、話がずれている。戻そうか。君が男というのはわかった。次に、精霊種は全体数が少ない。いるだけで他の人に迷惑をかけてしまう者もいる。君のステータスやスキルを教えてくれないか。アイシクルについて知っていることも」

「わかりました。ところで、ステータスはどうやって出すのですか?」

「メニューの中で見ることが出来る。出し方は声に出すだけだよ。出し方は後から帰ることもできるから、出し方を変えたかったら設定で帰ることが出来る」


 言われた通り、メニューと声に出すと目の前にホログラムが出てくる。右側に自分の姿が写っており、左側にはいろんなタブがあった。

 その中のステータスのタブを押す。すると、右側に写っていた姿が消え、ステータス表が現れる。

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