『凜ちゃんと梢ちゃん』生放送!

「さあ、やってまいりました。凜ちゃんと梢ちゃんの生放送!」

「・・・」パチパチ

「今回初の試み放送委員会から生放送をやってみないかとのお誘いが来たもので今回の生放送が実現しました!」

「・・・」ごそごそ

「今回含めて何回か放送しますので、好評なら継続不評なら打ち切りという形になります。どうか、よろしくお願いします」

「します」

「ささ、前口上も済ませて自己紹介からしましょう!」

 デデン!

「えー、わたくしメインパーソナリティことたちばな 凜華りんかと助手の海原うなばら こずえちゃんでやって行きたいと思います!」

「よろしく」

「この生放送でなにをしていくかというと、基本的に普段の生活で起こったことを紹介します。他にも部活紹介などがありますが、それはおいおい」

「・・・」ばさばさ

「まあ、第一回初のコーナーから行きましょう!」

 テレ!

「びゅかつ!」

「・・・」ちらっ

「部活紹介コーナー!どんどんどんパフパフ!」

「・・・、びゅかつ」

「梢ちゃんが何を言っているか私にはわからないなー」

「・・・」ばさっ

「あらためて、部活紹介コーナーとは何か!単純明快部活を紹介します!わが高校はあまたの部活があります。体育会系や文系、理系。同好会やなんだかわからないものなどなど。新入生が部活どれを選んでいいのかわからない。そこで!この場を借りて、というか作ってこの部活はどんなことをするのかを紹介します!」

「・・・」ぽりぽり

「梢ちゃん機材は汚さないでね?」

「・・・」こくり

「さあ、第一回初コーナー一つ目の栄えある部活はこちら!部活斡旋部!」

 がちゃり

「どうもー、部活斡旋部の高木です」

「どうもどうも。ささっ、こちらに」

「あ、ご丁寧にどうも」

「・・・」がさごそ

「どうもこんにちわ」

「・・・」チラ

「?」

「・・・」こくり

「ど、どうも」

「ああ、梢ちゃんは気にしなくていいよ。マスコットだから」

「マスコットですか」

「そ。そんなことより高木さんが所属の部活斡旋部とは何でございましょか」

「あ、はい。それを言う前に皆さんに知ってもらいたいことがあります」

「知ってもらいたいこと?」

「・・・」もぐもぐ

「はい。私たちが通う高校では部活に入ることが義務付けられています」

「そうなんですか!?」

「はい。けれど部活に入っていない人もいます。部活斡旋部は入っていない人に声をかけてなにかの部活に入ってもらうようにしています」

「けれど、今まの2、3年にも部活に入っていない人がいますけど」

「はい。先輩方は正確には帰宅部に入ってもらっています」

「帰宅部ぅ?」

「・・・」ぱきっ

「ええ。他の高校では帰宅部というのは名前だけでしょうが、ここでは形ある部活です。活動内容は放課後、時間に余裕があれば学校行事にて手を貸すこと。ただそれだけです」

「手を貸すといっても、それじゃあ帰宅部の意味がないのでは?」

「・・・」ぐいぃ、パチン!

「たしかに、せっかく帰宅部に入った意味がありません。部活を細かく見れば他に奉仕部というのがあります。しかし、この部はほかの部の手伝いをしているので、学校にまで手が回らないのです。なので、人が有り余っている帰宅部に手伝わせようとなったのですが、帰宅部員の反発が強く、最初は実現しませんでした」

「ふむふむ」

「そこで、手伝う利点を考えました。成績を少し上げることにしたのです」

「上げるといっても、上げすぎたら他の生徒が怒りますよね。それ」

「はい。正確には、態度に関するものを見合わせることにしたのです。もちろん、成績を上げるのは手伝った生徒だけです。手伝いの日に本人が先生の前で生徒欄にチェックしています」

「そですか。たしかに、行事前に普段見かけない人がいましたけど、帰宅部だったんですね」

「ええ。これを始めたのは3年前からです」

「歴史があるわけでもないと」

「・・・」サクッ

「はい。ですが、今のところ問題はありません」

「ふーむ。話がだいぶずれている気がしますので戻しますが、部活斡旋部は部活に入っていない生徒に部活を斡旋する部活ですね?」

「はい。ややこしいですがそうです。帰宅部以外にも様々な部活を紹介しています。入りたい部活が決まっていない生徒や今の部活に不満を持っている生徒にも紹介しています」

「そこまでやっているとなると、このコーナーいらなくね?」

「いえいえ。このコーナーは必要だと思いますよ?」

「なぜ」

「今回まで多くの生徒さんが部活斡旋部なんて存在を知らなかったわけです。このコーナーで初めて聞く部活に入りたいと思う生徒が出るかもしれない。俺、私の部活も紹介してくれと部活が来てくれるかもしれない。そんなことをして部活を紹介していってください」

「本物の部活紹介をしているところから言われると妙な安心感がって、なに?梢ちゃん」

「・・・」ちょんちょん

「ああ、時間か」

「もうそんな時間ですか。どうも今回はありがとうございました」

「こちらこそありがとうございました」

「では、これからも部活斡旋部をよろしくお願いします」

 がちゃ

「さあさあ!部活紹介コーナーも時間が来てしまいました!」

「・・・」ごくごく

「今回は部活斡旋部でしたが、次回はどんな部活が来るのか、今からたのしみですねえ。ね、梢ちゃん?」

「・・・」?

「梢ちゃんはこっちをまったく気にしていない様子」

「・・・」キュっ

「凜ちゃんと梢ちゃんの生放送第一回はここまで、また次回!」

「・・・」ふりふり

 でれっでん

「あいさつ何にしようか・・・」

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