第7話
森を進み初め何時間経ったのだろうか。同じような景色ばかりで前に進んでいるのかすら不安になってくる。
「ねぇー。まだー?」
「あのなぁ。まだもなにも初めて来たんだからどこが出口か分からないよ」
「……なぁ、1つ聞いていいか?」
「なぁーにー。」
「……サリエラが、いなくないか?」
立ち止まり、先頭にいるアリマは後ろを振り向く。皆も周りを見渡してもそこにサリエラの姿はなかった。冷や汗が全身を駆け巡る。
「あの、これって、……」
「何も言うなッ!」
「そして誰もいなくなった的あれな」
「言うなッ!!!」
キロネックスが怖いのを紛らわすかのように
「あ、あれだよ!手!!手を繋げば離れたらすぐ分かるよ!」
「幼稚園児かッ!」
「じゃあ、俺キロと離してね!あと、ルアルとも!」
「「は?」」
「だって二人電気系だろ?静電気で髪が跳ねちゃう」
コエの願いは届かずキロネックスとルアルに挟まれて進むことになった。どことなくコエが暗い顔をしているが気のせいだろう。一向に出口に近づいている気がしない。進むことが嫌になるくらい、この森は不気味だ。
「いいか、皆。連れていかれそうになったら声を上げろよ!」
「う、うん!」
数歩進みアリマは段差に躓く。そこで一瞬手を離してしまった。すぐ様バランスをとる。
「悪い、さ、手を……」
振り返ると、コエ以外のメンバーは姿を消していた。一気に8人が消えてしまった事実に二人は目を疑った。
「えっ……」
「コエ!お前!ちゃんと手を繋いでいたか!?」
「つ、繋いでいた……はずだよ。……でも、なんにも感触がなかったんだ。……離れた感触……」
ワナワナとコエは自分の両手を見つめる。確かにガッチリと繋いでいたはずだった。だが、いつの間にかメンバーは消えている。瞬きした一瞬に消えてしまった。コエはアリマに近づき手を繋ぐ。突然の事に驚き顔を上げた。そこにはいつもはふざけているコエの真剣な顔。アリマは頷き手を握り前を向き歩き出す。
「でもさ、皆声あげてなかったよね?」
「あぁ、誰も何も」
もしかしたら、マリアの仕業かもしれない。だが、マリア一人でこの行為が出来るのだろうか。いや無理だ。誰か共犯がいるに違いない。
「コエ、私から離れるなよ」
「……離さないよ」
「……?」
「ラストアークにアリマを誘ったのは俺だ。俺の手を取った時から、アリマを離さない。
俺が手を解いたらアリマ1人になるからね。」
ニコッと笑った。その笑顔はどこかアリマを安心させる。返事をしようと口を開いた瞬間
「ハロハロアリマ〜」
「ッ!?」
勢い良く声をする方へ顔を向ける。憎たらしいその声の持ち主はそこに立っていたら
「ま、マリア……」
「また会えたね〜!ま、必然なんだけどね。」
「…お前……ッ!」
「それよりいいの?」
マリアはゆっくり腕を上げアリマの隣、つまり、コエの方へ指を指した。嫌な予感がする。
「こえっち、もう、いないよ?」
「……えっ……」
恐る恐る隣を見る。確かにコエの姿は無くなっていた。
「あっはは!やっぱりアリマは口だけだよね〜!」
「マリア……お前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
アリマは怒りのままにマリアに殴り掛かる。マリアはニヤリと笑い静かに
「さぁ、楽しもうか。アリマ」
♢♢♢
「……アリマっち?」
「どうしたの?遊ぼうよエルちゃん」
「あ、……貴方は私とかけっことかして、遊んでくれるけど…………で、でも、貴方は犯罪者……でしょ?」
「…………そうですね……私は犯罪者だ…………」
ミッシェルはエルの目を見る。その目にエルは怯える。
「さぁ、遊ぼうよ。エルちゃん………………
死んでしまうくらいに楽しいお遊戯を」
「ッ!!」
エルは逃げ出す。ミッシェルの目が怖かったからだ。見ていたら気が狂ってしまいそうだった。ミッシェルはエルと遊んでくれる。遊ぶ時は何も感じなかったが、今、あの一瞬から気配がまるで別人のように変わった。とにかく距離をとりたかった。走るただひたすらにエルは走る。取り残されたミッシェルは呑気に歩き出す。エルを精神的に追い詰めるかのようにゆっくりゆっくりと。
──さぁさぁ、楽しもうか──
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます