第3話
「私だよ…?アリマの右目を義眼にした張本人。…………アリマの幸せを奪った張本人ッ!!」
「…………本気で言ってるの?」
「本気も何も本当にそうだもん」
アリマの右目が義眼だということはコエを始めパーティーメンバー全員が知っている。だが、なぜ義眼なのか、その経緯は誰も知らなかった。
「アリマは昔から弱虫だからさ、こえっちの顔を見る限り誰にも言ってなかったんだ。まぁ、言えないよね??双子の片割れに右目を奪われましたなんて、……可哀想なアリマは言う勇気なんかないよね。」
「ッ!!」
ボッとアリマの体から発火した。そのままマリアに突進していく。マリアは笑いながらアリマの攻撃を交わす。暫くしてマリアの体から水が現れる。手の上で水球を造り、アリマにぶつける。交わしきれないアリマは水を被る。シュウウッと火が消える音がする。アリマの炎は普通の水では消えないはずが、いとも簡単に炎が消された。コエは息を呑む。
マリアはアリマに近づき
「炎は水で消せるんだよ……これ常識〜♪」
「アリマッ!一旦引こうッ!」
「えーいなくなっちゃうの?まぁ、顔見れたし私も帰るよ。……じゃあ、またね……アリマ」
「待てッ!!」
追いかけようとするアリマをコエが止める。
「1回帰ろう。……皆に知らせるのが先決だよ。」
「あぁ……」
「アリマ」
「……なんだ」
「いつか、教えてね」
「……あぁ」
♢♢♢
「犯罪者に接触したぁぁぁぁ!?」
「うさ公うっさい」
「へ!?ふぇぇ!?な、なんで捕まえられなかったんですか?アリマさんより強いってことですか??」
「……まぁ、そうかもしれない」
「はっ。アリマちゃんより強いんだ〜。勝てないアリマちゃんは逃げ帰ってきたってこと〜?」
「ちょっとスバルさん!」
「……あぁ、そうだ」
「……ちょ、否定しろよな。調子狂う」
「アリマ……一体何がどうしたんだ?なぜそんなに元気がない」
顔を俯かせているアリマにサリエラが近寄り、目を合わせるためにしゃがみこむ。シーンっと場が静まり返る。皆アリマの言葉を待っている。急かすのではなく、自分から話してくれるのを待っているのだ。
「……私は…………………………すまない。明日……で、いいか……?」
「……」
「まだ、言う勇気がない。」
すまないと今にも泣きそうな声でアリマは言う。皆は顔を見合わせ、
「いいよ!急かしてもダメだしね!」
「エル……」
「アリマっち!元気だして!!」
「あぁ、ありがとう」
こういう時エルの天真爛漫な性格は役に立つ。本人は意図として接している訳では無いのだけれど。
「……よし、明日に備えて寝よう!」
「は?まだ飯食ってねーだろ馬鹿かテメーは」
「寝るには早すぎる馬鹿かコエは……あ、馬鹿だったな」
「コエ、備えるのは構わないが私は食事を済ませ、寝る準備をしたら寝るからな。」
「コエくん寝ちゃうの?おやすみ」
「コエコエだけご飯いらないんだね言っとくおやすみ〜」
「コエくん!風がお休みだって!」
「おやすみ〜!良い夢をだね!」
「おやすみなさい」
「コエ、おやすみなさい」
「コエくん……おやすみ」
「コエ……よく眠れよ」
「皆酷くないッ!?」
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