第17話 変態野郎、首相撲を語る
今回で17回目ですか。
けっこう書きましたね。
賢明な読者の皆様はもうお分かりかと思いますが、
実はこの場では敢えて技術的な事を述べていません。
それはお金を払って、ジムに行って覚えてほしいからです。
でも、今日は気が変わったので、少しだけ技術的なお話をします。
首相撲についてです。
私が最も得意とする技術ですが・・・
これは口であーだこーだと説明することはできません。
首相撲の強い人に投げられまくってやられまくって覚えてください。
もちろん、例えば柔道みたいに相手の重心を崩すときは手の位置はこうで、
足はこっちに動かして相手を引っ張って…という教え方もありますが、
私はこの教わり方では全く強くなれませんでした。
才能がないからです。
「技術の時間~♪」
とか言って教えてももらいましたが、
やっぱり年季の入った私よりも、ド素人のおじさんたちの方が飲み込みが早いです。
私はすごく要領が悪いので、トレーナーからしたら最悪にイラつく相手で、
せっかく試合技術を教えてもらっても、全く上手くできず、
教える側はイラついて、怒り出し、そして相手にされなくなるという事を性懲りもなく繰り返してきました。
そんな私がなんでそこそこ強くなれたかというと、
それただ、「諦めなかった」というだけです。
体の力が弱くてパンチはヘロヘロ、蹴りも遅く、気が小さくて才能なく根性も無い私に最後に残されたのが首相撲なだけです。
さて、向き合ってのパンチの打ち合いには格闘センスが要求されます。
しかし、掴み合いに持ち込むと、これはもう、力や才能の話ではありません。
どっちが首相撲の練習をしたか、で勝負が決まります。
大抵の人は毎日強い人に投げられまくってシバかれまくってると、
面白くなくて首相撲の練習をやめてしまうか、熱心にやらないのですが、
私はやり続けました。プロ選手にも、タイ人にも投げられ続けました。
ただそれだけです。
強くなる秘訣なんかありません。
極意もありません。
奥義もありません。
まず格闘センスが要求される国際式ボクシングと違って、
キックボクシングは努力の占める割合の大きい競技です。
その努力というのは、要するに首相撲です
手だけのボクシングと違い、習得する技術が多岐にわたるため、
いろいろと対処法を知らないと勝てない事が多いです。
首相撲なんか特にそうです。
よく、日本人選手がタイ人選手に掴まれて膝蹴りでボコボコにされているのを見ますが、
あれは対処法を習得する努力を怠った結果です。
さてそれでは、この首相撲に対してキックボクシング界はどう対処したかというと、対処してません。
ただ、首相撲を禁止する・あるいは制限する事によって
運営側が勝たせたいスター選手が首相撲の得意な選手(主にタイ人選手)から保護されるように仕向けただけです。
もう、おわかりでしょう。
そう。
K-1です。
K-1にもかつては首相撲の得意な選手がいました。
マット・スケルトンや若い頃のブアカーオ等です。
マット・スケルトンは地味で、怪力首相撲とラフファイトで相手の選手を怪我させるのでK-1から干され、
ブアカーオはルールの変更により、スタイルの矯正を余儀なくされました。
その結果どうなったでしょう。
今時のあの競技の選手たちのファイトスタイルはみな画一的(ガイチ的@安倍晋三)なものになりました。
K-1のファイトスタイルは魔裟斗によって洗練され、武尊の登場により確立されました。
確かにK-1は素晴らしいものですが、私は興味が湧きません。
せいぜい皇治の記者会見と試合くらいしか見ません。
昔話をしてもしょうのない事ですが、日本のキックボクシング界には様々な独創的なスタイルの選手がいました。
センスより努力の優先する世界がそれを許容していました。
参考として、youtube「ソムチャーイ高津」で検索して欲しいのですが、
まぁ格闘技ファンとしての目が肥えてくると、首相撲・ヒジ・膝有りのキックボクシングの方が
楽しめるかと思います。
キックボクシングを志す方も、首相撲ありのルールの方が間口が広くなると思うのです。
そう、例えば私のように。
才能がなさ過ぎて、ジムで誰にも相手にされてなかった私が、
ジムが満員の時に、雨が降ってるのに外に追い出されて外でシャドーして私がですよ
いつの間にか皆からスパーリングを嫌がられまくる存在になったように。
決してそういう選手はスターにはなれません。
だけど悪役にはなれます。
そんな人材は、K-1では悪役どころか、前座試合にも必要とされないでしょう。
首相撲が許容されるルールだと、戦術の幅が広がります。
見る方にも知識と経験が要求されますが、
しかしただの殴り合い蹴り合いにしか見えなかったものが奥深く見えてくる事でしょう。
K-1とかKOだけ見たい自称格闘技好きがよくいますが、
そういうのって、野球のピッチャーがただボールを投げるだけの
簡単なお仕事に見えてしまうのと同じです。
己の眼力の無さを恥じてください。
…と言いたいところですが、
キックボクシングジムの会長されている方々は利益を巡って内紛を繰り返しているうちに、
ファンには愛想を尽かされ、選手からはそっぽを向かれ就職され、
自分だけイイ思いをしようと権力闘争に明け暮れた挙句に
オイシイところを全部K-1に持って行かれてしまいました。
小野寺力の「KnockOut」、がわりかしイイ線行ってるとは思いますが、
どうでしょうね。
別にK-1は悪くありません。
キックボクシング側の自業自得です。
私の住む県下のとある市には三つのキックボクシングジムがありますが、
これがの三つ巴の抗争を繰り広げております。
対立の原因は、「アイツがFacebookの友達登録をオレに無断で削除したから」とか
そんな深刻極まりない理由だったと記憶しております。
なので、
キックボクシングと言う俺的に素晴らしい競技が市民権を得る日は永遠に来ないと断言します。
まぁ、おっさんの独り言ですよ、こんなの。
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