追憶
俺がデスゲームから抜け出した後は、特別待遇が待っていた。
国が用意したリハビリ施設、養気を養うための娯楽施設、とにかく最高の時間だった。
毎日、その施設で遊び続け、恐怖の世界が終わったと安堵していた。
とある日の事だった。
「もう20だし、これからはもういいよね」
その言葉はとても冷たく、もういられないと悟った。
実際、もうあのデスゲームから二年経っている。
精神的にはもう大丈夫だったし、この待遇が終わるとも分かっていた。
そして施設を後にして自宅へ戻っていった。
家族が家で温かく待っいてくれた。
その日の夜は酒やら何やら飲んだくれ、楽しい夜を過ごした。
家族は待っていてくれたと思い、楽しく会話を続け、深夜まで飲んでいた。
飲み終わったあと、久しぶりに自分の部屋に戻った。
掃除は行き渡っていて、あの頃と変わらぬ姿でいた。
俺は真っ先に布団に潜り、ここでの思い出を思い出す。
家族とゲームした話、妹と恋ばなした話、色んなことを思い出す。
しかし、思い出すのは家族の事だけではなかった。
部屋で親友と遊んだ思い出も思い浮かんだ。
あの時の楽しい風景はもう見れない。
あの幸せは見れない。
そう思ってしまった以上、涙を流さない事にはならなかった。
うわあああと泣きじゃくる俺はまるで子供だった。
しかし、日常が戻らないと思うとただ、ひたすら、泣いていた。
しかし、これからはこんなことが多くあった。
クラスメイトの保護者たちに恨まれ、人には恵まれず、ただ泣きたいような日々が続いた。
そして極め付きは就職難であった。
学歴がない。 そう気づいた時には後の祭りだった。
デスゲームから開放され施設ち入れられた頃にはもう高校中退のレッテルを張られている。
もうこのときには社会の闇に呑まれていた。
「へぇ、君、高校中退してるんだ。」
それが、面接で切られるときによく聞いた言葉だった。
社会は学歴を求める。
その言葉通りだ。 社会に頭の悪いヤツはいらない。
学歴のない俺を欲しがる訳がない。
今さら後悔していた。
なんであそこで遊んでいたのだろう。
なんで社会のことを考えなかったのだろう。
ひたすら後悔する日々に止まらない世界。
親が聞いてきた。
就職しないの?と。
その言葉にはもう、帰ってきたときの温もりはない。
ただ、焦りのある声だった。
俺にも焦りが伝わり、自分も焦る。
このままだと、ただの無職だ。
それからだった。
俺は毎日のように面接に行き、落とされてきた。
何度挫折しただろう。
何度怒りを覚えただろう。
何度心配させただろう。
その焦りは日がすぎるたびに消えていき、最後には俺はただの毎日落とされるただの就職活動をする人間となっていた。
そして、現在に至る。
社会の闇に呑まれたゴミがもがく、ただの話。 誰も興味のない、その後の話。
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