穴モテハッピー✌️🎉
小紫-こむらさきー
20○○年12月某日 歌広街にて
「それ!穴モテだよ!よくないよ!!!自分を大切にしなよ!!!」
アキコの一声で場が凍る。え?穴モテ?なにそれ?
よくわからないまま私はアキコに手を引かれてバーを出た。ごめんねイケメンバンドマン…せっかく乗り気だったのに…。
後ろ髪を引かれながら私はアキコに連れられるまま深夜のファミレスにきた。えー?どうしたの?なんでそんなに怒ってるの?
アキコは最近知り合った女の子だった。女子校出身22歳。経験人数1!今までの彼氏は2!
私の周りには少ないけど多分よくいるタイプの清楚で遊ばないタイプの女の子。
私ことユリエはと言うと、経験人数覚えてない!彼氏の数も覚えてない!そんな22歳。
なんでそんな正反対の私たちが知り合いなのかと言うと、ちょっとめんどくさそうなおじさんに絡まれていて困っていたところをそれとなく助けたら懐いてくれた。そんな感じだった。
ちょっとちょっと待ってよーと私はファミレスのテーブルに顎を乗せて恨めしそうにアキコのことを見る。アキコはというともう怒り心頭みたいな感じでちょっと乱暴にドリンクバーのホットドリンクのカップをテーブルに置いた。
「ユリエは折角美人なのになんでそんな自分のこと安売りするの?」
「やす…うり…?」
まったくわからない概念に日本語を覚えたての外人みたいな返しでしか答えられない。そもそも何故アキコが怒ってるのかすら私にはわからない。
「もう!信じられない!あのなんか軽そうな人もユリエの体にべたべた触ってるし!失礼だよ!」
「え?え?まって!アレ私が触らせてたんだよ?」
「え?え?」
「え?え?」
え?え?をしばらく繰り返す。なにかの部族同士の挨拶みたいな状況が少し続く。
アキコも頭が悪いとかじゃないし、なんとなく一人でぷんぷん怒ってたのがわかったみたいで急に顔を赤くしたり青くしたりし始めた。
「もしかしてアキコ…セックスしたくない?」
「そんなことないよ!彼氏とは…我慢できるもん」
「がまん!?!?!?!?!?!?待って????したくてするもんじゃないの?」
「したくてする?したくてする??」
異文化コミュニケーション。私とアキコはお互い頭に?をいっぱい浮かべながら会話をする。そうかアキコ的には私がなんか仕方なく体を触らせて仕方なく誰かと夜の街に消えていくと思ってたんだな?それで怒って止めてくれたの?いいこかよ。
「え?あれじゃあ嫌じゃなかったの?」
「うん。むしろノリノリだった」
「ムシロノリノリ…」
今度はアキコが最初の私みたいに日本語を覚え始めた外人みたいな発音でオウム返しをする。
「なんか…ごめん…穴モテなんて言って…」
「大丈夫だよ!穴モテハッピーだよ!私セックス好きだし!穴モテハッピー」
「なにそれ」
さっきまで濡れた子犬みたいな可哀想なくらいシュンとしていたアキコが耐え切れずに笑い出す。自分でもよくわからない。なんだよ穴モテハッピーって。
でも、アキコが元気になったからま、いっか。
「私は穴モテハッピー!アキコはノー穴モテハッピー!」
「穴モテハッピー!本当に…ずるい…早とちりしてごめんね」
「よーし!こんなところでへこんでてもなんだし!飲み直しにいこー!」
「いこー!」
アキコと私、全然タイプはちがうけど、このまま仲良くやっていけると思う。
私たちはファミレスの会計を済ませて肩を組みながら年の瀬の繁華街へと再度繰り出した。
穴モテでも私がしたくしてしてるならマジハッピー
穴モテハッピー✌️🎉 小紫-こむらさきー @violetsnake206
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます