第9話
「ここ、始まりの街ゼロトニスはね?その名の通り、この世界が始まった場所なの。正確には初めてこの世界に文明ができた場所ってことね。」
白い街並みを、美しい灰色の髪をなびかせながらルナが先導し、街の紹介をしてくれる。
「まぁ、始まりの街って言うくらいだしそんな感じだろうと思ってたけどな。それで?あの街の真ん中にある白い塔はなんなんだ?展望台とかか?」
街の真ん中には300メートルはあるだろう真っ白な塔が堂々とそびえ立っていた。
「あぁ、あれね。あれは始まりの塔って呼ばれてるわ。昔々、この世界に始めて人間が移住して来たときに着いた場所があそこなのよ。」
「なるほど、でもなんでわざわざ塔なんて立てたんだ?記念碑的な感じか?」
「違うわよ。昔の異世界へのワープ技術が安定していなかったから、目的地点の遥か上空に着いちゃったの。」
「で、最初は飛行魔法で地面に降りてたんだけど、あまりにも不便だったから塔を建てたらしいわ。まぁ、今はもう使われてないから、あんたの言う記念碑ってのも全くの的外れってわけでも無いかもね。」
「なるほどな、でもなんで使われなくなったんだ?」
老朽化が進んだのだろうか、さっき言ってた安定性が低いからだろうか。
「それはね、20年前に、おっと、この話はここまでね。」
「え?なんでだ.....よ.............」
ルナが会話を辞めた理由がわかった。
俺の目の前には、思いっきり和風建築で、流石に瓦は付いていなかったがこの真っ白で美しい街並みに全くと言っていいほどあっていない建物が建っていたからだ。
「着いたわ!ここがギルドよ!美しいでしょ?しかも、ここオンセンとかいうおっきなお風呂まであるのよ!」
「旅館じゃん…」
まんま、見た目は旅館だった...異世界要素といえば入口の上に大きな文字が書いていることくらいだろうか。全く読めないことから、やっぱり異世界文字というものもあるらしい
「さ、入り口で突っ立ってても仕方ないし早く入りましょ!あんたが登録してる間、私オンセン入ってるから!」
「確かにそうだな!って見ててくれないのかよ!」
流石に1人というのは心細いものがある。異世界だと文字も書けないしな。
「大丈夫大丈夫、受付のおねえさんに僕は異世界から来ました!ギルドカードの発行お願いします!って言えば全部やってくれるから!じゃあオンセン入ってくるから!おっ先ー!」
「ちょ!まてよ!」
行ってしまった...あいつどんだけ温泉好きなんだよ...
「仕方ない。俺も覚悟決めて行くか!」
俺は木製の美しい装飾をされたドアを開けて中に入る。中ではガヤガヤとした声が聞こえる。俺は期待に胸を膨らませるのだった。
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