第6話

魔女が手にした本にはぎっしりと、完璧に俺の記憶が書かれていた。


「ていうか、この本俺が忘れた記憶のことまで書いてるのか?俺、3歳の記憶なんてないんだけど...」


「当たり前じゃない!私の魔法なんだからそれくらい余裕よ、余裕。人間の記憶っていうのは引き出しみたいになっていて、記憶を思い出す時は一回一回引き出しを開けているの。」


「だから、物忘れした時っていうのはその引き出しを開けることができないだけで、頭の中から消えたわけじゃないのよ。」


「で、私の魔法はその引き出しの中身をそのまま文字にして白紙の本に移すことができるってわけ。納得した?」


「まぁ...」


正直全然意味わからないが雰囲気はわかった。


というか、もう俺の頭の中は一つのことでいっぱいになっていた


「固有魔法って、誰にでもあるって言ったよな?」


「まぁ、そうねこの世界に来たばかりのあんたでも多分持ってるはずよ」


「まじで⁉︎どうやって使うんだ⁈」


ここは異世界、定石通りなら俺はチート級の固有魔法をゲットできるはず!


「残念だけど今すぐは無理よ、そもそもあんたの固有魔法が何かわからないし師匠を作ってギルドに申請しないと固有魔法は使えないわ」


「ギルドなんてあるのか...というか、師匠なんてそうそう見つかるもんでもないだろ!」


「うーん、そうね弟子になったら師匠から名前を付けてもらうしきたりがあるのだけど、大抵は子供の親が師匠になるわね」


そうか、親か、いや親は師匠じゃないだろう...ちょっとずるい気がするな...


すると魔女が少し考えてから口を開いた。


「じゃあ、あんた私の弟子になりなさいよ。それでここで働くといいわ。元々は私のせいで帰れなくなった訳だし地に足がつくまでは面倒見てあげるわ」


「いいのか⁉︎本当にこの後どうしようかと思ってたんだ...」


こいつは案外いい奴なのかもしれないな


「あ、でもいくら私が可愛いからって襲ってこないでよね。あ、そんな度胸ないか。さっきの本見た感じ童貞ぽいし笑」


「しねーよ!というか勝手に俺の記憶が見るなよ!」


前言撤回こいつはいつかぶん殴ってやろう。俺が心に決めた瞬間だった...

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