第4話
夢を見た。最悪な夢だった。
嫌な夢だった...異世界は大好きだがアニメもゲームもない世界なんて真っ平御免だ。
心なしかベットがいつもより硬い気がする...寝すぎか?
俺はゆっくりと目を開ける。そこには見慣れた天井...ではなく、不思議に発光する紫色の炎が燃えていた。
「夢じゃねぇぇぇぇぇぇぇ!」
「え⁈まじで⁈俺帰れないの⁈」
「てか、そもそもここなに?どこ?暗いし!炎浮いてるし!魔女の家かよ!」
「いや、でも異世界だから魔女もいる...のか?」
「俺、召使いにでもされちまうのか⁉︎それとも魔法薬の実験台とか...」
いや、だとするとあの夢の超絶美人が魔女なのか...?まぁ、召使いはアリかもしれない。
「起きて早々、人を魔女呼ばわりとはいい度胸ね!」
夢に出てきた魔女が階段を降りてきた。
「私はれっきとした錬金術師よ!しかも、正式に国から認められた超一流錬金術師なんだから!魔女なんかと一緒にしないでくれる?」
「錬金術師⁈凄!じゃあこの空中をフワフワしてる炎もあんたが錬金術で作ったのか⁈」
「いや、それは初級魔術の...じゃなくて!まずはあんた名前教えなさいよ!あんたがさっき説明の途中で倒れちゃったからずっとモヤモヤしてたのよ!」
ごもっともだ。
「えーと、俺の名前は...俺の...名前?」
名前だ名前、ずっと元の世界で呼ばれ続けてきた名前...名前...名前...名前
何か、何か引っかかったように記憶に雲がかかったように自分の名前が出てこない。
「どうしちゃったのよ!早く答えなさいよ!こっちはずっとあんたが起きるのまってたんだから!」
「いや、名前が...思い出せないんだ...」
「はぁ?!名前が思い出せない⁈バカな嘘ついてないで早く答えないよ!勿体ぶらないでーはーやーくー!」
「もったいぶってるわけじゃねぇって!本当に思い出せないんだよ!」
出会って数分でこんなに女にイライラするのは初めてかもしれない。
「もしかして、転移のドアの影響かしら...アレ普段あまり魔術に関わってない人間が使うと前後の記憶があやふやになることもあるらしいし...」
「間違いなくそれだろ!だって俺生まれてから魔法なんて使ったことねぇもん!」
というか、俺の世界で魔法なんて使えるやつ1人もいないだろ。
「あー、だから自分の名前も思い出せないくらい記憶が飛んじゃったのね」
「どうしよう、俺このまま自分の名前も思い出せないまま異世界で暮らしていくのか...?」
「それは大丈夫よ!そういう事は私に任せなさい!私、こういうのを解決するのが一番の特技なの!」
女が自信に満ちた顔で胸を張る。というか、こんな滅多に起こらない状況を解決する事が一番の特技ってそれはそれで大丈夫なのか?
全く不安しかないが、今俺にできる事はこの女に頼ることだけだ、本人が得意だと言っているのだ。少しでも状況はマシになるはずだろう...
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