第23話 閑話* 勇者の思い出


雄大は昔一度だけ勇者を見たことがある。勇者は赤い姿をしていて、雄大のことを撫でてくれた。


雄大自身も勇者になるために頑張っていたある日、雄大は夢を見た。ゴリラの顔をした魔王が、雄大を殺す夢だ。

雄大は怖くて、目の前にいた青年に助けを呼んだ。

青年は雄大のかわりに、魔王を倒してくれた。ようやく、雄大は魔王が邪魔して入れなかった、家の中に帰ってこられた。


家の中には誰もいなかった。そこで雄大は思い出した。雄大の家族は皆死んだのだ。雄大の父親に殺されて。

雄大の父親は借金を苦にして、母親も妹も兄も道連れにして、死んだ。雄大のことも殺そうとしたが、奇跡的に雄大は生き残ってしまった。


雄大はそれから児童養護施設で、過ごした。

雄大の家の場所も事件のショックで、雄大は忘れてしまっていたが、夢の中でやっと思い出すことができた。


「ありがとう、お兄ちゃん」

 児童養護施設の中で、雄大はぽつりと、呟く。こんどあの家に行って見ようと、雄大は決意した。

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