第18話

 

ひとりぼっちは寂しい。誰もいない薄暗い校庭で、一人武は佇んで考える。

何故同級生の黒は、武のことを殺そうとしたのか?

「ふざけんなよ!!」

 武は地面を蹴り上げる。

 黒にも父親にも文句をいってやる!

目指すのは、黒の家だ。

武は其の場から走り出す。


次の瞬間、武は中学校の教室にいた。


「おはよう、武」

目の間の席に、微笑む黒の姿がある。先ほどまで武は、誰もいない放課後の教室にいたはずなのに、これはどうしたことだろう?

「黒?」

「もうすぐ授業が始まるぞ」

これまでのことが、全部武の夢だったというのか?いいや。武はもう迷わない。夢だろうと、武が思っていたことは、本当なのだ。

「黒、お前、なんで、俺を殺そうとした?」

そう武は口を開く。

「………は?武、お前、頭おかしくなったんじゃね?」

「誤魔化すな!」

「梅子、武がなんかおかしくなった」

「武、大丈夫?」

心配そうな梅子の顔がある。

「俺は」

武は戸惑う。

「もうすぐ、先生が来るぞ、武」

黒が微笑んで、ドアの方を指差す。

なんだか腹が立って、武は黒に頭突きを食らわした。

黒の悲鳴。

そして、武の意識は遠くなって、気絶した。


気が付くと、武は裸で、ベッドに寝ていた。ベッドの隣には、裸の黒が寝ている。

「はあ?!」

すさまじい光景に、武の頭はパンクしそうになる。

武の恋愛対象は、男だ。だが、黒は対象外だ。黒とそういう関係になるのは、正直気持ち悪くて、ありえない。べつに黒に魅力がないとは言わないが…..。


 黒は一人頭を抱えたのだった。

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