第14話閑話* からすと少女

 昔梅子は鴉を保護したことがある。まだ子供のその鴉は怪我をしていて、小学生の梅子は放っておけなくて、家に連れて帰ったのだ。

梅子の母親はいつもヒステリックで、梅子のことをよく怒鳴っていた。梅子は母親に拾ったことを言うと、また梅子は怒鳴られると思い、鴉のことは内緒にすることにした。鴉のことは梅子の幼馴染の黒と武にだけに言うことにした。黒は鴉の育て方を調べてくれて、武はよく鴉の餌を買ってきてくれていた。


梅子は武のことが好きだった。でも武が男の子のほうばかり見ているのを、梅子は気づく。梅子も女の子のことが好きだから、同性に心ひかれているのに気付いてしまった。結局バレンタインに、梅子は武にチョコを渡せなかった。


ある日学校から梅子は家に帰ると、鴉はいなくなっていた。慌てて梅子は母親に内緒にしていることも忘れて、保護している鴉のことを聞いた。

「捨てた」

そう梅子の母親は言う。

梅子は泣きながら、家の外を探したが、鴉は見つかることはなかった。


おとなになり梅子のもとに、武が交通事故にあった連絡があった。武の容態は本当に危険らしい。意識が戻らなければ、死んでしまう。


その晩梅子は不思議な夢を見た。夢の中で泣いている梅子。一羽の鴉が梅子のことを慰める夢だ。

鴉は病院の武の元まで飛んでいく。


夢から覚めた梅子は、朝一番に武の元まで走って迎えに行くことにする。きっと、武は無事だと信じて。

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