第8話閑話* 血まみれ兎
閑話*
人を殺す。
人を殺す。
竜宮は人を殺すことで妄想することが、一番好きだ。
弁護士である強者である自分が、社会的弱者を殺す。最高に興奮するんじゃないかと、思う。とくにそれが異性である可愛い女性であるならば最高だが、世間は厳しい。
だから竜宮はペットのウサギを殺すことにしている。
最近は夢の中で男子中学生を何度も殺す夢を見て、性的に満足していたが、弁護士の客のクライアントが面倒な男で、竜宮はいらいらしていた。
俺はこの程度の存在ではない。
俺はもっと、素晴らしい存在だ。
それをしらしめないといけない。
竜宮はスーツのジャケットをはおうと、家を出た。
夜の学校は誰もいない。監視カメラもいまだにない。荒らし放題だ。竜宮は目をつけている飼育小屋に向かう。
「お前が、ウサギ殺しの犯人だな。警察がすぐに来る。覚悟しろ」
見知らぬ男が飼育小屋の前に立っていた。
この男は、竜宮が十年前にウサギを殺したことを知っているのか?
竜宮は身じろぐ。まだ竜宮はなにもしていない。なんとかごまかしがきく筈だ。
「な、なんの話だ?俺はただ通りかかっただけで」
「見知らぬ少年から電話があった。お前がウサギを殺したのではないかってな」
夢物語を言う男に、竜宮はせせら笑う。
「夢なんてそんな馬鹿な」
「そう、普通はそう思う。だが、俺は娘を殺された。犯人かもしれない男を逃がすことはできないと、お前のことは調べさせてもらった」
男は竜宮に向かって、写真を放り投げた。その写真には竜宮が捨てたウサギの死骸が写っている。
「名誉棄損で訴えてやるからな」
そう言い放ち、竜宮は其の場から逃げ出した。
大丈夫。誰にもばれていない。竜宮は自分を叱咤して、酒を流し込んで寝ることにした。
いつものように竜宮は夢の中で、ウサギと遊んでいる男子中学生を殺す。血をすすりながら、本当は女子中学生を殺したいのにと、残念に思う。
喉がひどく渇く。酒の飲みすぎか?水でも飲もうと、竜宮はベッドから起き上がる。
にっこり笑うウサギの顔をした少女が、竜宮を見下ろしてた。
女の幽霊が出ると評判の中学校がある。そう言われ始めた最初の出来事それは、ある日、中学校で一人の女子中学生が殺されたからだ。
朝の学校で殺された女子中学生の顔は、焼かれて潰されていたそうだ。猟奇的事件として、当時は相当報道された。
女子中学生を殺した犯人はいまだに捕まっていない。
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