第2話 たけちゃんとパセリじじい
武道くんの家に行くと、家の前の
「かっちゃん、もう来たん? はや」
武道くん――たけちゃんはかっちゃんを見るとおどろいて言いました。
たけちゃんは
「着がえてくるから、まっててや」
たけちゃんは家の中に入って行きました。
おじいちゃんは庭の菜園の野菜についている青虫を取っているところでした。
「今日も遊びに来てくれたんかいのう」
おじいちゃんがかっちゃんを見て、かかか、と笑いました。おじいちゃんの顔はまっ黒で、生えているヒゲはまっ白でした。
「いいもんあげよ」
そう言ったおじいちゃんに、またか、とかっちゃんはげんなりしました。
「ほい、口あけえ」
ふり向いたおじいちゃんの手には
「パセリはようさん
パセリじじい、とかっちゃんはおじいちゃんのことをこっそりと呼んでいました。いつも同じことを言って、かっちゃんにパセリをたべさせるのです。
よくこんなまずいもの食べられるなあ、とかっちゃんは思いながら、おとなしく口をあけてパセリを食べるふりをしました。
おじいちゃんが背中を向けた
「かっちゃん、お待たせ」
家の中から着がえた、たけちゃんが出てきました。
「じゃあおじいちゃん、遊んでくるわ」
たけちゃんは言うと、かっちゃんの手をつないで引っぱりました。
「まだあると思うねん。でっかいへびのかわや」
「缶の中に入れようと思って、もう持ってきたんだ 」
かっちゃんは
「へびのかわは
「おじいちゃん、お金もちなの?」
「宝くじはいつも
たけちゃんがかっちゃんの後ろの方向を見て声をあげました。
「マミちゃんちゃうん? あれ」
かっちゃんがふり向くと、どたどた、とした足どりでピンク色の服を着た小さな女の子がこっちに走ってくるのが見えました。
「こっちに来るな! 帰れ!」
かっちゃんは叫ぶと、たけちゃんの手を取って走り出しました。
「早く行こう。ついてくる」
「ええの?」
後ろでぎゃー、とマミが泣くのが聞こえました。
かっちゃんは振り返らずに走りました。
マミがついてくると足手まといで、ちっとも面白くありません。
自分の姿が見えなくなったら
たけちゃんとかっちゃんは、田んぼの土手に向かって走りました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます