第4話 クラスメイトと友と先生と。
ウィーン。
教室の自動ドアが空いた途端、ざわついていた教室が一気に静かになり、皆が僕を見る。
「またやらかした…。」
そう言った途端、どわっと笑いが弾ける。またかと呆れた眼差しを送ってくる奴もいるが、大体は爆笑だ。
「おい湊!また遅刻するなと思ってショートメッセージ入れたんだけど?」
そう言いながらぐいっと肩を掴んだのはクラスの中で一番仲が良い
「ごめんな、最近スマホの通知がうっとおしいからoffにしてるんだ。」
「せめて時計の通知くらいonにすれば?」
「あ、それ忘れてた!」
すぐさまスマートウォッチのディスプレイを操作し、通知をonにすると、通知欄が「999+件」になって数秒後、通知音が立て続けに鳴って大慌てで音量を下げた。
ちょうど最後の通知のショートメッセージに多摩川 翔という名前がある。
「ありがとな、翔。」
と言うと、
「そんなのどうでもいいからさ、今日の放課後空いてるか?」
と問われた。僕は普段なら部活だが、昨日試合があって休みが潰れたため、臨時オフだ。
「特に予定は無いよ。そっちもオフなの?」
「ああ、サッカー部と同じでさ、俺らも試合があったんだよ。マジでキツかった。」
「確かに三連休だったのが一日減ると辛いよね。」
「それもそうなんだけどさ、試合後にウェアラブル配られてさ、全員が一定量の心拍数超えるまで終わらないとかマジでヤバいだろ!?」
「あのベース回るのをずっと?」
「いや、インターバルもやった。マジで疲れたよー。」
マジとかガチとかをよく使う彼だが、今回はガチっぽい。相当疲れている様子で、僕に抱き着いてきている。
「女子もいることだし、ね?ちょっと手を離そうか?」
「嫌だ。」
僕は必死に抵抗するも、なかなか離してくれない。このままだとそういう趣味だと思われてしまう…。
ウィーンと右前あたりから音が聞こえた。
「はーい。みんな席に座ってー。あれ?お二人さんそういう感じ?」
図星だ。僕は、
「違いますよ!」
と、半ギレで対抗するが、翔が、
「案外そうだったりしなくはないかもー?えへへ。」
などと、疲れすぎて頭が逝ってしまっているのか、意味不明なことを言い出す。
クラスの女子からは、
「うわキモ。」
「翔ヤバい。」
「戸塚君可哀想だわー。」
との声。最後のは有難いがいつか同類にされそうで怖い。なんか写真も撮られてる。GIFだろうか。これでスクープ新聞にされたらたまったものじゃない。
「はーい。それでは気を取り直して出席取って行きます!」
ほっと一息、としたいところだが、色々と話せていないところがあった。
放課後、何をするのだろうか。これで備品の片付けだったら怒るが、きっと遊びのお誘いだろう。何人で遊ぶのかな。カラオケとかに行くのかな?
誰でも同じだと思うが、放課後が楽しみだと、今日一日頑張れる気がする。待ち遠しくてうずうずする。体育がだるいけど張り切っていこう。
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