第2話 この監視社会で。
生徒指導室の前には長蛇とはいいがたい、短い列が出来ていた。7、8人だろうか。
「君はもう4回目じゃないか。次に遅れたら理由は何であろうと1学期の間、学生サービスが受けられなくなるからな。」
恐ろしい。5回あるとはいえ、たかが5回。自分自身も気をつけた方がよい。
学生サービスとは素晴らしいシステムだ。学生専用のカフェやPC室、図書館など、提携している一定の場所、空間を貸切に出来たりする。ただし、これも気をつけなければならない。サービスを受けるのに必要なのはICカード又はそのICチップが入った端末。それを配布、管理しているのは学校だ。
つまり、没収がある。遅刻や不祥事、成績でその対象になったりする。それまでは大丈夫なのだ。それまでは。
没収を差し置いて学生達が一番嫌っていること。それは追跡機能だ。
しないとは信じているが、学校の先生が血眼になって見張れば全員の生活リズムや行動の習性がわかってしまう。
実際に自宅学習が少なさそうな生徒が目星を付けられ、一時的に審議、そして監視の対象になり、案の定、点が悪くて生活指導を受けたことが我が学校でも頻繁にある。
プライベートもクソもない。つい先月の中旬にシステムがハッキングされて情報が漏えいした事件があった。乗っ取られたのはわずか数秒だったが、数万人が被害に遭った。
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