薬草詰み

「クコばあの言葉はつらかったね。」

森で薬草を探すのを手伝うハルについていって相談してみた。

「ハルは帰りたくないの?」

「かあさんは俺を商品としか思ってないから。奥多摩から帰ってから芝居にピアノにて習い事ばっかだったし。」

アゲハさん、自分が女優になりたかったらしい

私も洋服やエステてやらされたっけ

「この世界にいるほうが楽しいよやれサインくれ写真とっててしつこく言われないしね。あ、その葉っぱの裏にある実とって。」

エメラルドグリーンの大きな葉っぱの下には小さなブドウのようなふさがある

それを採ってかごにいれる

昴といればいやでもセレブな世界に関わるはめになる

「魔術て無意識に影響させるらしいよ。」

そういってまた茂みに手を伸ばす

小さなハムスターのような生き物が出てくる

「イテテ、巣があったのかごめん。」

肩にあがりチーチーいう動物を手にのせる

「何かなつかしいよね。牧場でよくヒヨコとかの世話してたのが。」

あの時がハルにとっては幸せだったのかも知れない

赤ちゃんの時から星砂家で育てられた私とちがってハルは実の親に置いていかれたらしい

「俺はここですごすよ。瑠璃はまだ今なら選択は出来ると思うよ。」

薬草詰みの仲間が手を振っている

笑顔で走っていく

私がもしハルと一緒になっていたとしたらどうなったんだろう?

ふと思った

昴が嫌いなわけではない

ただ強情なとこにはたまに疲れる

ガイアの昴の妻として生きるか、カルメンさんの娘として生きるか

どちらも負におちない

スバルはどう思っているのだろう?

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