ネプチューンの最後の楽園 『ヘブン』

顔をあげるとそこは金色と薄紫の雲がかかる森だった

川かな?

銀色や赤の細い線が見える


「瑠璃、良かった。」

森の中の広場に着くと昴が抱きついてきた。

手にも足にも包帯だし

それでも顔見ると安心する

ラズさんの話だと『マホロボ』の人達もここにいるらしい

「さすがにあそこには長いしたくないよ。キキョウはどこに飛んだんだろう?」

角が半分になり

尻尾はまばらになり

脇腹に傷

マッチャはボロボロだ

「あそこでは聖獣はあんまり役にはたたないからな。こちらとしては好都合、あそこには仲間がいるからね。」

昴を保護してくれたアンダンテという少年が言う

私を探しに行く最中に戦闘に巻き込まれ違うシティーに落下

さらにそこで乱闘にあったらしい

「尾っぽは伸びるまでこれで何とかなるけど角は無理そうね。」

他のペガサスの尻尾を編み込んでマッチャの尻尾は可愛らしくなっていた

「オニキス様がお暇なら変わりの鉱石でも加工出来たが生憎いそれどころじゃないしなあ。」

ユニコーンにとって角は大切な物で角がなくなると魔法が使え無くなるらしい。

「ユニコーンに聞くかはわからないけど龍の髭とティの羽で作った首輪を着けてみたけど.........」

「高価な物は僕は似合わない、せめて毛皮にしてほしいよ。」

マッチャが自分で言うので昴が吹き出した

ティファさんという女性が作った首輪は金色の羽に銀色の輪だ

「タイガーの尾の皮を巻いてまあ見たくれ良くなったかしら?」

「なんか、無理やり仮装させたぶちのポニー見たい。」

作り直した首輪を付けたマッチャをみて昴がふきだす

白い毛皮のすき間から金の羽と銀のひもがのぞいている

小柄でブチのマッチャが付けると確かに仮装したみたいになっている

「どこかの物作りの村でも行くしかないね。」

アンダンテさんがパイプを吸いながら行った。

この人は昴を救ってくれたらしい

「まだあるのかしら?『ヘブン』以外はもう奴等が居ないところなんてほとんどないし。」

マッチャはブツブツ文句を言いながら隅に行って寝てしまった。

「まだミィスリルの周辺はやられていないからいるかも。ユニコーンの角があるかはわからないけど。ラズはのんびりしてていいのかい?」

「龍殺しの犯人を探しているけど。私にはおてあげだからここの人々の援護にあたるわ。」

そういいながらラズさんはてきぱきと潰した木の実を皮の袋にしまう。

ここには消毒液とかはないようだ

どくどくの臭いがする木の実はハーブのようなものだろう

昴のそばにいるとツンとした臭いがする

「昴さんあなたは無茶をしないほうがいい。カラーが来るまで二人は休んでて。」

キキョウはすみで寝ている

魔力の消耗でもとの大きさに戻れないらしい

ハルは包帯だらけにもかかわらず外に出ていった

「リリカじょうは捕まったのかい?」

アンダンテさんが石のパイプを吸いながらきく

「『ダイネ』に逃げ込んでオニキス様がおったという情報が来てから音さたないわ。カルチェ達が到着したから行って ......」

「ダメじゃあそこにはそなたはちかずいてはならぬ。」

入ってきた老婆に言われ

ラズさんは座りなおす

「ワシの名前はクコ、流の魔術師じゃ。そなたがたが異界から来た者かい?」

「地球から来た星砂昴です。妻の瑠璃です。」

老婆は昴をじっくりみて目を細める

「昴あんたは強い加護をもらっておる。修行をつめば戦士になれるのかも知れぬがそなたはそなたの世界でやりとげなければいけないことがある。つらいことかのしれぬが守り人の娘をとるか、それをとるかこの世界が変わるまでには決めなくてはならぬ。」

どなって反抗するかと思ったら昴は髪をかきあげ一歩さがった。

「瑠璃そなたはこの世界で生きるのが使命じゃ。」

この世界で?

もとの所に帰れないの?

老婆はそう告げると重傷者のいる奥に入って行った。

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