第28話
氷の周りでは、いくつもの赤い魔方陣が氷を囲むように展開され、その一つ一つから先ほどルーネが放った魔法以上の魔力が込められている。
氷が溶け出し、讀賣の体が半分以上外に露出することが出来たら、急に指を鳴らした。
「もっと吠えよ。我が怒りはまだ続く」
その瞬間、空気が割れると思うほどの爆音が流れ出し、火力を倍以上にさせる。
部屋の中では、急に加熱されたせいで砕けて飛んできている氷の破片を剣で弾き飛ばしているリーナとレグリーがいる。
「リーナ! もっとペース上げるぞ!」
今現在でも物凄い速さで剣を振るっており、飛んでくる破片の速さは弾丸以上。それが無数に飛んできているのを弾き飛ばしているのだが、レグリーはもっと剣を振るう速度を上げるといっているのだ。
「これ以上!?」
驚き剣をすこし止めてしまうが、レグリーがカバーする。
リーナはすこし考え込むように後ろに下がると、首に巻いているスカーフを上にずらすと、顔に笑みを浮かべ、レグリーを振るい立たせるよう言う。
「一分も持ちませんよ」
「そんだけもちゃ上等よ!」
同時にレグリーも笑みを浮かべ、一気に全体を覆っていた雷の膜を外す。
そしてそれにつられるようにスカーフで完全に口を塞ぐと、今まで以上の速さで二振りのバゼラートと振るう。
レグリーは足こそ動いてはいないが、剣はもちろん、腕すらも見ることは叶わない。
そしてリーナ。こっちはこっちである一定間に空中に魔法陣にも似た壁を作り、それを足場として兎の様に飛び回っている。
そのせいで、こちらは体すら視認することができない。
なりやまぬ爆発。一つ一つは数秒の威力を短く纏めたものなのだが、それが何発もまとめて、しかも複数の魔法陣で同時に放たれている。
その爆発はとてつもなく、レグリーの発生魔法ですら少しの傷をつけるだけで終わってしまったのだが、現在はもう半分以上砕いて溶かして蒸発させてを繰り返し、で消え、もう自力で外に出れるほどだ。
だが、未だに爆発をやめない。
なぜなら黒鷹が未だに気を失わずに爆風で吹き飛び続けているからだ。
ここで黒鷹を捕まえなければ、きっとまた、今度は寝込みや人質という手を使ってくるだろう。
それを回避するためには、幾分と火力が足りない。
ん? 足りないなら増やせばいいじゃん。
「誰か! お前らの中で魔法を二つに出来る魔法使える奴はいるか!」
もはや希望は希薄だろう。もしも使える奴がこの場に居るのならば、きっと前から使っていただろう。
讀賣がもっと魔力を増やすかと面倒くさそうに内心思うと、突然のように声がした。
「なんだか解らんけど、そっちが悪役っぽいから力貸すぜ!」
救世主は突然に現れる。
誰が言った言葉かは既に覚えてはいないが、そんな格言があったことは覚えている。
でもさぁ。
「こんなおっさんじゃなくてもっと可愛いロリがよかったな」
かっこよく立ちはだかるのは、太っていて、尚且つでかい、もはやオークのような人間だった。
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