第27話
黒鷹の血で印された魔方陣は、重圧と共に輝きをます。
それを応用に、ルーネの刻印も光を帯びる。
『ルーネ。本物の焼却魔法を見せてやるよ』
その言葉が届いたのか、先ほどまで気を失っていたはずのルーネがギレーヌの元からむくっと起きる。
「もう大丈夫?」
「この焼却魔法の担い手の魔法より上を見せてくれるって言ったのですから、見なければいけないので」
若干の皮肉は入っているが、ギレーヌにいう。
すると周りの人間がルーネを囲うように立つ。
「用はさっきより強いのが来るんだろ? それだったら守ってやんないとな」
そういいルーネの頭を撫でるレグリー。
「どうしようもないお姉ちゃんですけど、今日ばかりはお姉ちゃんをい死ぬ気で助けます!」
そう言い放つと、先ほどまで使っていた剣は投げ捨て、腰から二振りのバゼラートを取り出す。
得意げに振り回すと、振り返りルーネに二カッとした笑顔を見せる
「年下が頑張っているんです。せめて立つ瀬くらいくださいね」
腕を前に出す。
その手には、いつでも回復魔法を出せるように、赤い粉の詰まったビンが握られている。
「ご主人! 度玉抜くほどの魔法、一発たのむぜ!」
『ああ。でもすごいからって警戒は怠るなよ』
警戒を緩めるなというと、讀賣は詠唱に入る。
氷の中だと声が発せない。でもぞんなことは魔術にならば関係はない。
精霊のご加護を受けるのが魔法。大気の魔素を使うのが魔素。
事象の干渉さえ出来れば、魔術は鎖を喰らいちぎる。
『In heaven, one person.
The earth of the HA fool who looks down.
It's decision in heaven to break the place.
We assume that anger is lost when it is.
さあ、門を開け。伝説が呻りをあげよう。
吠えよ、神の咆哮!』
魔方陣が割れた。
「っえ!?」
ルーネのかすれた声が響く。
だが、まだ終わってはいない。
――魔術は事象に干渉する。
壊せないなら、壊せるものを作ればいい。
風が吹き、本が荒れる。
椅子が讀賣のほうに吸い込まれ、音を鳴らす。
部屋に後付けされたように、内開きになっている窓は開閉を繰り返し音を鳴らす。
「まさかこの現象は魔力かッ!?」
現象の発生源が讀賣の魔力と気づくと、声をあらげその場から逃げ出そうと意味もなく格子を叩く。
――ピキ。
小さいが、格子から亀裂の入ったような音がなる。
「よし! このまま行けば」
「このまま行けば、なんだって?」
どこからか讀賣の声が放たれる。
「どこだ!」
格子に亀裂が入ったと喜び、安堵のような表情から一転し、目を細め声の方向を探す。
黒鷹はふと思った。
何故棺の中に居るはずの讀賣の声が聞こえるのか。
まさかと思い棺を見るが、特に何も変わった様子も、讀賣が抜け出したわけでもない。
黒鷹は安堵のため息をつくと、格子に腕を叩きつけようとする。
が、寸前のところで止まる。
「爆ぜろ」
確かな声が黒鷹の鼓膜を刺激したからだ。
讀賣の中心から膨張しだす魔力の波の衝撃に備えようと黒鷹は後ろに飛ぼうとしたが、讀賣の前では無力な行為に他ならなかった。
なぜなら、目の前には神の怒りが暴れているから。
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