第22話 一章完結
多少の砂煙などが立ち上る道端で、讀賣が前方に移る人影に指を向けた。
「あそこにいるのは憲兵か何かか?」
讀賣が指を差す先には、門の前に立つ二人の武装した人間と平民のようなかっこをしたおばちゃんと仲良く話していた。
その様子をレグリーが目を凝らしてみると、讀賣に振り向き頷く。
「そーいやさっき盗賊殺しちゃったけど平気かな? テンプレじゃ罪がどうたらこうたらだけど」
「テンプレが何かは知らんけど、盗賊を殺しても罪にはならないから安心しても大丈夫だぞ」
安心して胸を撫で下ろすと、今度はギレーヌではなくレグリーの頭を撫でてやる。
すると嬉しそうな顔をして、頭を前後左右に犬見たく動かす。
すこし撫でていると、嬉しくなりすぎたのか隠していた尻尾と耳が出てくる。
どうやらこの世界では半獣は差別の対象になるらしく、普段は隠しているらしいが、たまに嬉しくなると出てきてしまうらしい。
このままでは他の誰かに見られたらマズいと頭から手を離すが、もっとやってと抱きついてくる。
未だに耳の露出に気付かないレグリーに、」讀賣が耳元で囁く。
「耳とか仕舞えたらな」
「――えッ!?」
案の定気づいていなかったのか急に顔を赤くさせ讀賣を突き飛ばすようにして離れる。
「イテて」
地面に尻餅をついた讀賣が反射的に口にしてしまう。
その声を聞いたレグリーは申し訳そうな顔をして、先ほどまでブンブン振っていた尻尾を縮こませる。
「ごめん……」
凹んでしまっているレグリーをもっと見ていたいというもが本心がある讀賣だが、後ろからくる冷たい視線に気づいたのか、すぐにレグリーのフォローに入る。
「別に大丈夫だよ。それにレグリーのさ可愛い所、見れたしね……なーんて」
先ほどとあまり体制は変わらないが、変わったのは顔が赤くなった事と尻尾がブンブンと振っている事だ。
このままじゃ何も変わらないと思った讀賣は、後ろに居るギレーヌに視線を移し、アイコンタクトで「後は頼む」と伝え、リーナたちを連れて先に歩き出す。
すこし進むとレグリーの悲鳴などが聞こえるが、讀賣たちは何も聞こえないフリをして先に進む。
「そーいやさ、ルーネって何時まで俺の奴隷で居るの?」
「へ?」
「だから、これから二人で旅とかするんじゃないの?」
「あ! そうだった」
突然とリーナが大声を上げる。その様子ではどうやら忘れていたようでエヘヘと可愛く頭を撫でる。
二人を呆れた目で見つめている讀賣がこんな提案をする。
「あのさ、よければだけどさ、これから一緒にぶらぶらと旅してみない? 目標は俺が最強になることと幼女ハーレム作る事だけど……」
ばかげた事を言ってしまったと顔を赤くし恥ずかしがる讀賣と同じように、恥ずかしくなった二人は顔を赤くしてしまう。
讀賣が言ったことは、幼女ハーレムを目指す上で、幼女である自分自身がそのハーレムに招待されているとも取れるのだ。
そんな事とはいざ知れず、二人を期待な目で見つめる。
時折讀賣を見たり、二人で見つめあったりなどで讀賣を不安にさせる。
「別にずっと一緒に居ようって訳でもない。いやになれば抜けてもいいし、拠点はどこかのギルドで、旅って言っても延性みたいなものだし。それに俺だけで行って、他はギルドで待ってるって言うのもあるし」
そう言うとグッと顔を見返す回数が少なくなる。
きっと先ほどまで自分の行動が制限されるかもと心配だったのだろう。もしも行動を制限されたらまるで奴隷生活に元通りだし。
だがそれを拒否したのは思うことがあったのだろう。ルーネを助けたり、幼女には優しいからついていっても奴隷見たくはならない、など。
すこしの間二人は硬直すると、ルーネが先に口を開く。
「私は、ニーキさんと一緒だと楽しそうだし、行きたい!」
「そ、それだったら私も行く!」
迷っていたリーネは慌てて私もと言う。
もしこのまま拒否すると一人ぼっち、そうなるくらいなら讀賣と一緒でもいい。
自分を肯定するように心で唱えるように言うと、目をはっきりと開ける。
「私も、一緒に行く!」
「おう!」
二人の頭を撫でてやる。するとくすぐったそうに顔をずらす。
やべぇ、まじやべぇ。これが幼女。前世? もう何の柵ももねぇわ。むしろもう戻れないわ。
『えー讀賣さん。幼女というのはどれほどの危険と中毒性がありますか?』
『はい。もし幼女を見入ってしまったら、他の歳なんでクソ食らえです。危険性は犯罪レベルですね、現に様々な人がつかまるように』
など脳内でふざけていると、後ろからギレーヌたちが歩いてくるのが見え、撫でるのをやめる。
すると名残惜しそうに見つめる讀賣。その前には理性や我慢などはない。
全力で撫で回してやる。
「ほら! もっと撫でてやるよぉ!」
キモいことをいいながら全力で撫で回すキモい男。そして全力で撫で回される可愛い幼女。
その光景はさぞかしおぞましいものだろう。現にギレーヌはともかくレグリーはとても嫌そうな顔をし、こちらに歩いてくるのを躊躇っている。
だが、そんな事は気にしない。俺はただ幼女を愛でて愛でて愛でまくるだけだ。
密かにそんな決め台詞をいうと、ギレーヌたちが来るまで幼女二人を撫で回した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます