第6幕 省みぬ


高橋「どうも~!!」

新島「・・・・・・・・・・・」

高橋「???? た、た、高橋で~す!」

新島「・・・・・・・・・・・」

高橋「え、え~と・・・二人合わせて!」

新島「・・・・・・・・・・・」

高橋「だんまりかよ!」

新島「・・・・・・・・・・・・・・・」

高橋「おい、これ本番だぞ!

   コンビ名言いたくないのはわかったから黙るな!」

新島「・・・もうバカらしくてやってらんねーよ」

高橋「うお!本番でまさかの漫才拒否!」

新島「前から思ってんだけど、おかしくねえか?

   俺はボケて一生懸命笑いを取ろうと頑張ってんのに、

   毎回お前は隣で何をやってるわけ?」

高橋「え? いや、ツッコミをですね・・・

   というか、お前がいつ笑いを取ろうと頑張ったんだ?」

新島「お前なんか俺の隣でテキトーに聞いては

   口からブクブクあぶく吹いてるだけじゃねえか」

高橋「俺はカニか!」

新島「なんでやねん! って、耳たぶをハサミでチョッキーン!」

高橋「痛い痛い! ってそんなツッコミがあるか!」

新島「どないやねん! って、お腹からカニミソがピュ~!」

高橋「出すな出すな! 突っ込んでないし!」

新島「何しとんねん! って、鍋でグツグツグツグツ~」

高橋「食うな! つか、何で俺がカニにされてんだよ!」

新島「・・・なあ、ぶっちゃけると、ブラックマンデーは俺で持って来たんだよ

   所詮ツッコミなんて誰でも出来るからな」

高橋「あ? テメー、今言ったなコラァ!」

新島「は? 何だオラァ? 事実を言ったまでだコラ!」

高橋「ふざけやがって! お前みたいなイカレた野郎にツッコミ入れるのに

   どれだけ俺が苦労してるのか分かってんのか?

   だったら一度よぉ、お前がツッコミやってみろ!」

新島「上等だコラ! やってやるよ! 両方の耳たぶ切り落としてやんよ!」

高橋「それはやめろぉ!」

新島「いいのか? 俺が本気出したらキチン質もキチン質じゃ無くなるぞ!」

高橋「だから何でカニになってんだよ!」

新島「じゃあお前、ちょっと今から何かボケてみろ!

   俺の完璧すぎるツッコミを拝ませてやるからよ!」

高橋「ああ、わかった。出来るもんならやってみろ」


高橋「・・・は~いどうも~!

   ブラックサンデーで~す!」

新島「おっとぉ? 今のところをもう一回」

高橋「は~いどうも~!

   ブラックサンデーで~す!」

新島「あれあれあれ? 今のところをもう一回」

高橋「は~いどうも~!

   ブラックサンデーで~す!」

新島「客席のみんなはもう分かったかな? スローでもう一回」

高橋「ふぁ~い どぉうもぉ~

   って、いいから突っ込めやああああああああああ!!」

新島「ピンポーン!」

高橋「ピンポーンじゃねえよ! 早押しクイズか!」

新島「はい!右の高橋の顔が上下にズレている」

高橋「ズレるか! 間違い探しかよ!」

新島「はい!右の高橋の顔がなんだか人の顔に見える」

高橋「人だから!もともと人だから!」

新島「右の高橋と左の高橋の顔が同じくらい不細工」

高橋「ほっとけよ!」

新島「右の高橋からカニミソが出ている。」

高橋「いいからさっさとツッコミ入れろや!」

新島「サンデーではなくてサタデーなのでは? (45歳・主婦)」

高橋「誰だよ! しかも間違ってるよ!」

新島「サンデーよりサタデーの頃の方が面白かったと思う (21歳・大学生)」

高橋「いつサタデーだったんだよ! というか新聞の投書欄かよ!」

新島「ラストで爆発四散する高橋のシーンが迫力あって良かった (5歳・医師)」

高橋「もうツッコミなのかボケなのか何なのか、全然わかんねーよ!!」


新島「スゲエな!俺のツッコミがキレッキレだな」

高橋「突っ込んでないから!お前は何も突っ込んでないから!」

新島「俺、ボケよりツッコミの方が向いてるかも知れん」

高橋「どの辺を見てそういう事が言えるんだ・・・」

新島「しかしお前のボケの方は全然ダメだな、何アレ?」

高橋「うっ・・・それはまあ・・・確かに・・・」

新島「ツッコミは凡庸。ボケは駄目。何なんだお前は」

高橋「・・・むぐ・・・」

新島「これからはピン芸人として一人ボケツッコミ芸で行こうか」

高橋「・・・・・・・・・・」

新島「ちょっとその芸風で練習~! 」

   どうも~!新島タモツ改め、新島タモリで~す!

   って、お前のどこがタモさんやねーん!

   髪切った? そーですね!そーですね!

   それじゃあ、お友達を・・・えええええええ~!

   友達がいないので僕のお母さんを・・・きゃああああああ!! 」

高橋「(こ、これはひどい・・・)」

新島「♪お昼や~すみはエロ動画ウォッチング!

    あっちこっちそっちこっち・・・ しくしく・・・」

高橋「?」

新島「あうっ・・・グスッ・・・ヒック・・・」

高橋「(・・・・・・・マジ泣き?)」

新島「こんなボケじゃ・・・ツッコミようが無いよ・・・」

高橋「今さら気付いたのかよ!」


新島「タカちゃんの苦労が今わかったよぅ、ゴメンねゴメンね」

高橋「・・・タカちゃんとか初めて言われたんだけど・・・

   まあいいや! これでわかったな!

   お前を相手にツッコミすることがどんだけしんどい事か!」

新島「ゴメンなさい! もう一人でやるなんて言わないから許して!」

高橋「じゃあ、これからは心を入れ替えて、マジメに普通の漫才をしろよ?」

新島「それは出来ぬ!」

高橋「なんでだよ!」

新島「この新島タモツ、引かぬ!媚びぬ!省みぬ!洗わぬ!」

高橋「頼むから少しは省みろよ! あと何だかわからんがひとまず洗え!」

新島「それじゃお友達を・・・」

高橋「いきなりタモリに戻すな!」

新島「お友達はタラバガニ君を・・・きゃああああああああ!!」

高橋「カニにも戻すな! つか、何どんどん話を戻してんだよ!」

新島「おっしゃられた通りにネタを省みてみましたが何か?

   ・・・で、省みて思ったんだけど、やっぱお前要らなくね?

   ぶっちゃけブラックマンデーは俺で持って・・・」

高橋「テメーいい加減にしろ!!」

(ドカ!バキ!)

新島「ギャー! やっぱツッコミなんて要らなーい!」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ブラックマンデーショー 寝介 @GATA

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ