第四十話 浜辺の魔法少女

「そうそう、その調子。海水だからプールよりも浮きやすいでしょ? まずは身体を海に浮かべることだけを考えて」

「うぅ、絶対に手を離さないで。絶対に……」


 泳げないといっていた美月だが、私を追いかけていた時は怯えながらも海の中に入ることは出来ていた。

 それなら後は身体を海に浮かばせる感覚さえ身につければ泳げるようになると踏んだのだが、狙い通り短期間で美月は泳ぐのが上手くなってきた。

 今の美月は手を私は握られながらではあるものの、海面をバタ足でバシャバシャと叩きながら一応は泳ぐ事が出来ている。

 

「ちょ、ちょっと……握る力を緩めないで……」

 

 まだ泳ぐことへの恐怖は消えていないようだけど、海に顔をつけるのも苦労していた三十分程前と比べるとかなり進歩している。

 この調子ならすぐに一人で泳げるようになるだろう。


「みっちゃん、だいぶ泳げるようになってきたねー。先輩、もうそろそろ手を離してもいいんじゃないんですか?」

「な!? 余計なことを言わないで巴! おね──沙希さん! 絶対離さないで!」

「はいはい、まだ離さないよ。今はまだ、ね」


 今は離すつもりはないけれど、もうすぐ手をつなぐ必要もなくなるだろう。

 そう私は思って言ったのだが、美月は私に見捨てられるとでも思ったのか、とても青ざめた顔をしていた。


「え!? なにその言い方……絶対離さないで!」


 美月はパニックになって、私の手を力いっぱい握りしめてきた。

 どうやら身体強化の魔法まで使ってるようで、華奢な身体からは想像もつかない力が私の手に加わっていて……ものすごく痛い!


「いだだだだ! 離さないから!」

「ほんと!? ほんとに離さない!」


 離さないと言ってるのに、美月はまだ疑っていて握る力を緩めようとしない。

 私が身体強化の魔力を使わなかったら手の骨が砕け散っていたかもしれないぐらいに、美月は私の手を必死に握りしめている。


「離さない! 離さないから力を緩めて!」

「……分かった」


 私が何度も離さないと念押しして、ようやく美月は私の手を握る力を緩めてくれた。

 緩めてはくれたものの、手自体はやはりそれなりに固く握られていて、絶対に離そうとはしない。

 これは重症だ──さっきはもうすぐ泳げるようになるかもと思ったけど、やっぱりこの怯えようだとまだまだ一人で泳ぐのには時間が掛かるかも……。


「うーん。こればっかりは慣れだよねー。美月ちゃんは何でそんなに泳ぐのが怖いのー?」


 風歌さんが首を傾げながら、そんな疑問を口にした。

 たしかに風歌さんの言う通り、美月はただ単に泳ぐのが苦手というより、泳ぐこと自体に恐怖心がある感じがする。


「なんでって……人間は本来泳ぐように出来ていないし……」

「あの……みっちゃんは昔、海で溺れかけたことがあるんですよ。小さい頃の話なんですけど、それから水辺に近くのも苦手で。だから、今こうして海に入れてる事自体が奇跡に近いんです」

「う……余計な事は言わないで、巴」


 なるほど、それで美月はこんなに怯えているのか。

 しかし、だとすると今までは水辺に近寄ることすら出来なかったのに、何で急に海に入れるようになったんだろう?


「へえ、でもアンタは今こうして海の中には入れてるじゃない。それはどうしてよ?」


 同じ疑問が浮かんだのか、凛々花ちゃんが似たような事を美月に聞いた。


「それは……沙希、さんを追いかけてたら……いつの間にか」


 自分自身、どうして海に入れたのか分かっていないのか、美月は凛々花ちゃんの疑問に歯切れ悪く答えていた。

 その話を聞いた優愛ちゃんが「あ!」と声を上げて、何かをひらめいた顔して、


「あ、じゃあもう一度沙希さんと距離を取って、追いかけさせれば泳げるようになるんじゃ……。もう、泳げるようにはなってるわけですし」

「ええ!?」


 突然、そんな事を言いだした。


「それよ! アンタ、一度沙希さんから離れて、少し離れた場所から追いかけなさいよ。もうさっきと違って浮かべるんだから泳げるでしょ、多分」


 凛々花ちゃんもそれは名案だと言わんばかりに指をパチンと鳴らして、そんな事を言い出してしまう。


「よーし! それじゃあ、早速やってみよう!」


 私の願いも虚しく、風歌さんまでもが二人の意見に乗り気になってしまった。


 え? なに、この流れ……。なんか勝手に私が美月に追いかけられる事が決まっている?

 三人は私が美月に胸を触られそうになったとは知らないから、そんな事を言い出すのかもしれないけど、さっきのように追いかけられたらちょっと……いや、かなり嫌なんだけど……。


 美月の方も二人の提案には反対なようで、顔を左右に勢いよく振って拒否感を示していた。


「い、いや! 絶ッ対、嫌! あなた達、私に恨みがあるからここで事故に見せかけて溺死させるつもりなんでしょう!? 絶対、この手を離さないから!」

「いだだだだ! ストップ! また強くなってるから! 緩めて!」

「なに見当違いな事言ってんのよ! いいからその手を離しなさいよ! ほら!」

「や、やだ! やめて!」


 凛々花ちゃんは美月を私から無理矢理引き離そうと腕を引っ張るのだが、美月は私の手をまた力強く握りしめて全く離そうとはしない。

 まるで駄々をこねる幼い子供のように、首をいやいやと振って拒絶している。

 ああ、もう。このままじゃ埒があかない。一体どうすれば……。


「先輩、ちょっといいですか?」


 私が思い悩んでいると、いつの間にか背後に近寄っていた巴が耳元で囁きかけてきた。


「巴? 何かいい方法でも思いついたのか?」


 私も声のトーンを落として問いかけると、巴はこくりと頷いて……凛々花ちゃん達よりもとんでもない提案を口にし始めた。


「はい。みっちゃんは先輩……というか沙希さんの身体を追いかけて海に入れるようになりましたよね? だからただ追いかけさせるだけじゃなくて、一人で泳げたら好きなだけ触らせると約束すれば────」

「はあ!? な、何言ってるんだ!? できるわけないだろ、そんなこと!」


 滅茶苦茶だ! 私が沙希じぶんの胸を揉もうとした時は止めたくせに、なんて提案をするんだこいつ!

 

「あのですねー。さっきのは先輩に邪な気持ちがあるのが見て取れたから止めたんです。みっちゃんは家族愛みたいなもんですし、セーフですよ」


 家族愛──あれが!? 鼻息を荒くして、手をワキワキと動かしながらにじり寄ってくるあれが……家族愛!?

 

「いや、絶対違うって! 美月も邪な気持ちあったって! 有り有りだって! ヒカリも嫌だろ!? 止めてよ!」

《う〜ん、たしかにちょっと怖かったけど、みっちゃんならいいんじゃないかな〜? 女の子同士だし、スキンシップみたいなもんだよ〜》


 こいつら美月に甘すぎやしないか!? ヒカリが触られるわけじゃないからって、適当な事言って……。


「う~ん……」


 でも、まあ……ヒカリの言う通り女の子同士だし、ちょっと胸を触るぐらいならいい……のか?

 いろんな意味で危なくなったら、その時は拒否すればいいし……。


「分かったよ……ちょっと聞いてみるよ。美月ちゃん!」


 私は覚悟を決めて、まだ凛々花ちゃんと言い争いを続けていた美月に呼び掛けた。

 呼び掛けられた美月は私の両手を固く握りしめたまま、不機嫌そうな顔でこちらを振り向いた。


「……なに? 言っておくけど絶対、海の中ではあなたの手を離さないから」

「そっかぁ……残念だな。もし一人で泳げるようになったら、私がなんでも一つだけ言う事を聞いてあげたのに」


 こう言えばいいんだろう? そう、巴に目配せしながら私は美月になんでも一つ言う事を聞くと言った。

 言って……しまった。


「え? なんでも……? ほんとに!? なんでもしてくれるの!?」

「うわぁ!? あ、ああ。なんでも一つだけ言うことを聞くよ」


 私の提案に予想以上の反応で美月が食い付いたのを見て、つい勢いでなんでもするなんて言ってしまった事を後悔した。

 巴の言う通り一回だけ胸を触ってもいいよとか言えばよかったのに……。


「じ、じゃあ! ちょっと耳を貸して……」


 人に聞かれたくないのか、美月は興奮気味に私の手を引っ張って頭を少し下げさせ、耳元に唇を近づけた。

 個人的にはそんな人に聞かれたくないような事をさせられたくはないんだけど……。

 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、美月は巴達の方をちらちらと見ながら私にさせたい事をひそひそ声で囁いた。

 

「────え? そんな事でいいの?」


 私にさせたい事を言い終えた美月は、顔を赤くさせながらこくりと小さく頷いた。

 胸を揉まれる以上の過激な事をされるのではと予想していただけに、美月が言った一言はとても意外だった。

 と、同時に「なるほど」と納得するような一言でもあった。


「ちょっとアンタ、沙希さんに何をさせるつもり? まさか、前言ってたみたいに魔法少女狩りを手伝えなんて言うつもりじゃ!」

「違う。そんなに大したお願いじゃない。とても些細な、でももう二度とないと思ってた事をしてもらうつもり……」

「はぁ? 何それ……」


 凛々花ちゃんはピンと来ていないようだが、巴は美月が私に何をさせるつもりなのかを察したようで、彼女は表情を曇らせ俯いてしまった。


「まあまあ、沙希ちゃんがいいならそれでいいじゃない。じゃあ、美月ちゃんは私が支えてあげるから一旦、沙希ちゃんから離れよっかー」

「……あなたも絶対、手を離さないで。絶対に……」

「いだだだだ! 離さないから手の力を緩めてよー! 痛いよー!」


 美月は今度は風歌さんの手を握りしめながら、少しずつ私から距離を取った。

 その距離は三メートル程だが、今の美月にとってはとてつもなく遠い距離に感じるかもしれない。

 実際、美月は私を不安気に見つめてカタカタと震えている。 


「じ、じゃあ……行くから」


 美月は覚悟を決め、恐怖心を押し殺して風歌さんの手をゆっくりと離していく。

 そして、美月は海中の地面に足をつけて、両腕でバランスを取りながら自分ひとりで立つ事に成功した。

 

「おお! 立ててる、立ててる! 美月ちゃんが立ったよー! よーし、その調子でここまでゆっくりでいいから泳いでみようかー」

「え、ええ……今、行くわ。このぐらいの距離、なんともないわ。大丈夫、大丈夫……」


 震える声で自分自身を鼓舞しながら、美月が私の元へとゆっくりと手で水をかいて近づいてくる。

 とてもゆっくりだけど、確実に進んでいる──これなら行けそうだ!


「が、頑張ってください……もう少しです……」


 おっかなびっくり泳ぐ美月を、優愛ちゃんが両手をぎゅっと握りしめながら応援している。

 多分、優愛ちゃんも泳ぐのが得意じゃないと言っていたから、同じように泳げない美月に共感したのだろうか。

 なんにせよ、バスの中で見せた敵愾心はすっかり消えているようで、少し安心した。


「みっちゃーん。もう少しだよー! 頑張ってー!」

「……あと少し。あと少しでたどり着く──」

《みっちゃん……がんばって〜!》


 周囲に観光客がいるせいで姿を現わす事ができないヒカリも、私の頭の中で美月を応援した。

 もちろん、私の頭の中にしか今の状態のヒカリの声は届かないのだが、頑張る彼女を黙ってみている事なんて出来なかったのだろう。

 あとでヒカリも応援していたよ、と美月に教えてあげる事にしよう。


「もう少しだよ! 頑張って!」


 みんなに応援されながら、とうとう美月は私の所まであともう三十センチの距離に近づいた。


 その時────


「……え!? 」


 突然、大きな波が発生し、私たちに襲いかかった。


「きゃああああ!」

「美月ちゃん!」


 美月が波に呑まれてしまう前に手を掴もうと、私は必死に両手を伸ばす。

 が、大きな波は私よりも早く美月を飲み込み、海中へと引きずりこんでしまった。

 当然、美月の近くにいた私も一緒に……。


「……ぷはっ! 美月ちゃん! みんな!」


 私はすぐに海中から顔を出し、美月とみんなに呼び掛けた。

 今の波はかなり大きかった……美月も心配だけど、みんなも無事だろうか?

 あのままみんな海中に引きずり込まれて──最悪な想像が一瞬頭をよぎる。 


「大丈夫です、先輩! 私達は! ……けど」


 だが、幸いな事に美月以外の全員は無事なようで、すぐに巴から返事がきた。

 そう、美月以外の全員は……。


「美月ちゃん!? 美月! どこだ!?」

「みっちゃん!」

「ちょ……嘘でしょ!? 返事しなさいよ!」


 やはり美月だけはあの時、海中の中に引きずり込まれてしまったようだった。

 私達は海中に沈んでしまった美月を探すために何度海の中に潜った。

 そして、時々海面に顔を出して必死に呼びかけるのだが、美月の姿はどこにもない。

 

 まさか、あの波でどこか遠くまで流されて、海の深い所にまで沈んだのか!?

 

「美月ちゃーん! どこー! ……あれ? 海中の中になにかが……」

「美月か!? いや、これは────」


 風歌さんの声を聞いて振り向いたその瞬間、私たちの足元の海中に黒い大きな影が現れた。


「なんだこいつは……さっきの影!? まさか、魔獣なのか!? 」


 まさかいつの間にか魔獣結界の中に引きずり込まれていたのか!?

 私はそう考えて辺りをざっと見渡すのだが、周囲の景色が全く変わっていない。

 入道雲を浮かべた青い空も、綺麗な海や浜辺も、全てそのままだ。

 結界特有の異様な雰囲気も感じられない。つまり、ここは本当に現実の世界のまま。


「馬鹿な!」


 ありえない! 現実の世界なのに、魔獣が出現するなんて!

 だけど、この黒い影の大きさとはどう考えても……。


「先輩! 出てきますよ!」


 巴が警告した瞬間、黒い影がとうとう海面にその巨体をさらけ出した。

 大きな波を発生させながら立ち上がる、複数の触手を持った異形の怪物──『クラーケン』の魔獣だ。


「そうか! さっきの波もこいつが!」

 

 現実世界に魔獣が現れた理由は不明だが、あの突然の波がこいつの仕業なのは間違いないだろう。

 すぐにでも変身して魔獣を倒すべきだ。


「おい、なんだあれ! なんか海にでかいのがいるぞ!」

「えー何アレ? クジラ?」

「見て! 触手がある! タコ!?」


 だが、ここは現実の世界。当然、浜辺には他の海水浴客達がいて、クラーケンとその近くにいる私達を見ている。

 

「先輩!あれ! あの魔獣の触手!」

《みっちゃん!》

「美月!」


 巴が指を差した先には、意識を失いぐったりとした様子の美月の姿があった。

 さっきの波が起きたときに、こいつは触手で美月を引き摺り込んでいたのか!


「現実の世界に魔獣が現れるなんて……とうとう第二段階へと移行したの? でも、この間の天使の事といいタイミングが早すぎる……。もしかして誰かが意図的に……」

「巴?」


 現実の世界に出現した魔獣に何かしら思うところがあるのか、巴はぶつぶつと呟きながら何かを考え込んでいる。

 

「考えるのは後にしようよー! 美月ちゃんを助けないと!」

「! はい。そうですね。みっちゃん! 今助けるから!」


 風歌に注意された巴は思考を中断し、海坊主に捕まった美月に大声でよびかけた。

 そうだ。たしかになぜ魔獣が現実世界に現れたのかは気になるけど、今は美月を救い出す事に集中しないと!


「まったく世話がやけるんだから……。助け終わったら、今度こそアイツにちゃんとお礼を言わせてやるんだから!」

「美月ちゃんが心配です……早く助けましょう、沙希さん!」

「ああ、もちろん!」


 私は頷き、周囲の海水浴客に変身する所を見られないようにするために、一旦海中に潜り込んだ。

 みんなも私に続いて海中の中へと潜り込み、魔宝石オーヴァム・ストーンを取り出して変身の準備を整えた。


「おい、女の子が捕まってるぞ! あれって最近ニュースでも話題になってる怪物の……」

「やばい、逃げろ! こっちに来るぞー!!」


 海坊主に捕まった美月を見が海水浴客達が、パニックになって逃げ惑っている。

 そんな逃げ惑う海水浴客達を捕まえようと、海坊主は浜辺へと触手を伸ばしていく。


「させるか!」


 触手が浜辺へと迫るその刹那、海中が五色の光の柱が立ち上った。

 光の柱の正体は、海中で魔宝石オーヴァム・ストーンを輝かせて変身した、私たち五人の魔法少女だ。

 海中から飛びだした私たちは浜辺に降り立ち、海水浴客達を守るために海坊主と対峙した。


「おお、魔法少女だ! あれが噂の……」

「すげー!俺、始めて本物見たよ!」

「あの子ってステラって子じゃない? すごーい! 写真、いや動画撮っておかなきゃ!」


 浜辺に並び立つ私たちを見た海水浴客達が、足を止めて歓声を上げている。

 まるで特撮ショーか何かを見ている子供のように喜んでいて、逃げるどころか足を止めて撮影まで始めてしまっている。


「なんで逃げないのよ!? この人たち!」

「まるで他人事みたい……」


 海水浴客達が逃げないのは多分、目の前の光景があまりにも現実離れしているせいだ。

 そのせいで逃げた観光客も戻ってきて、逆に私達の戦いを見物しようと遠くから近寄ってしまっている。

 

 まずい……このままでは、海水浴客達を巻き込んでしまう!

 

「みなさん、ここは危険です! 早く逃げて!」


 私は海水浴客達を見渡し、声を張り上げて逃げるように促した。


「うわぁ……凛々しい。なんかどこか宝塚っぽい喋り方じゃない? ステラ様、素敵よね……」

「こんなの近くで見なきゃもったいないよなー」


 しかし、野次馬の海水浴客達の数は一向に減る気配がない。

 それどころか、私の声を聞いてなぜか感動して座り込んでいる人もいる。

 

 くっ……仕方がない。戦いづらいがこのままやるしかない!


「行くよ、みんな!」


 ノクスとの戦いを除けば、初めての現実世界での魔獣との戦闘だ。

 当然、ここにいる人達を守りきれるか、街の建物に被害を出さずにいられるか、不安な要素は数限りなくある。

 だけどそれでも私達は美月を取り戻し、海と海水浴客達を守ってみせる!

 

 私達はそれぞれ戦う覚悟を決め、魔法杖オーヴァム・ロッドを構えてクラーケンへと立ち向かった────



───────────────



「へえ、あれがこの国の魔法少女か。しかも、五人。いや、……」


 少し離れた場所にある駐車場から、浜辺で戦う魔法少女たちを青い眼をした金髪の少女が見つめている。

 駐車場から浜辺までは距離がそれなりに離れているにも関わらず、その少女の目は魔獣と戦う魔法少女たちの動きを逃さず捉えていた。


 少女は魔法少女達の戦いを観戦しながら意味深な笑みを浮かべ、


「さて……それじゃあ、噂の魔法少女──マジカル・ステラ様のお手並みを拝見するとしますか」


 を手で弄りながら、そう呟いた。


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