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 フライブルクが近くなってくると、帝国議会に合わせて街を訪れる旅人が増えてきた。楽団や行商が多く、この祭典で一儲けを考えている連中たちだった。途中、その行商に話しかけ、新しい服を買った。アンナの見立てどおり三日後にはフライブルクに辿り着き、市内に入ることが出来た。城壁の外、草原には客や行商の天幕が張られて、市内も賑わっている。貴族、司教、僧院長、辺境伯、騎士。その連れと、財布を狙う商人たち。

「すごい賑わいだな」

 宿屋に潰れた馬の処分を依頼した。厩舎の前で街を見るエリオット。昼過ぎの街ということを加味しても、人の多さが際立つ。

「これなら何でも売れるな。人で溢れている」

 アンナが言った。

「ここからヴァレンシュタイン卿を探すのは一苦労だぞ」

「そんなのわかってる」

「知恵はないのか?」

「お前は自分の頭がないのか? 少しは自分から何かを発信したらどうだ」

「俺はあんたみたいに賢くない」

「こんなときだけ調子がいいな。プライドがない奴は変わり身が早い」

「で、どうするんですか?」

「腹ごしらえだ」

 宿屋に入り、食事をとった。

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