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 二人と出合ったのは俺が十八の時で、この世界に飛び込んだ時だ。今も変わらず体格のいい幸樹は修行先のバーの向かいにあった焼き鳥屋に。もやし体系の雪彦は三軒隣のキャバクラでボーイをしていた。

 同世代ってこともあり、ミケを含んだ四人は意気投合し、なんだかんだいつもつるんでいて。そこの商店街でも友達は沢山出来たけど、特にこいつらには“仲間”って呼び方がしっくりくる気がする。恥ずかしいから言わないけど。

 今はミケと俺が同じ商店街で店を出して、雪彦は違う街でキャバクラを二軒経営していて、幸樹は弟子入りした店をそのまま継いでいる。

 いろいろ忙しくてなかなか集まれなかったけど、こうしていい知らせを聞けて良かった。

「で、プロポーズはやっぱり雪彦からなの?」

「いんや、俺から」

「えっ、幸樹から!?」

「だって待っていてもプロポーズしてくれないから」

 少しヘタレな雪彦には、行動派の幸樹がピッタリ合う。だからこうして隣に座っていてしっくりくるんだろうけど。

「なんてプロポーズしたんだ?」

 これからの為にもぜひ聞きたいわけで。

「えっと」

「ちょ、それは内緒に決まってんだろ」

「いいじゃん、雪彦言ってみて!」

「えっとね」

「だぁっ雪彦!」

「大丈夫、幸樹の事は気にしないであたしにだけ聞かせて!」

「バカ、お前、恥ずかしいだろ」

「いいじゃないの、少しくらい幸せ分けてくれても!」

 ぎゃあぎゃあと、あーだこーだ言いながら騒ぐ光景に、懐かしさと嬉しさと微笑ましさが胸に広がる。

 多分ずっと、この関係は変わらいないだろうなぁ。

「楽しいな」

「当たり前でしょ。四人揃ってんだから」

「そうだな」

「なんか想太だけおっさんくさい」

「いや、俺たちみんなおっさんだからな?」

「あたしは違うわよ」

「おっさんだろ!」

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