第2章 万物の理論

第17話 お願いがあるの

ドイツの空港はレイが思っていたよりも静かだった。

指定された空港内の待ち合わせ場所には、背の高い男性がいた。


「えーと……Guten Tag.」

「Hello.

I am Thomas.

Are you Rei?」

「Ja,ich……あれ、英語か

Yes,I am Rei.

Nice to meet you.」


「Freut mich!

Wie geht es dir?」

「いやドイツ語か……Danke.Es geht mir gut.」


その男性はいかにも研究者といった容姿だった。

彼はレイのことを甲斐教授から全て聞いているということ、スマートフォンなどの通信機器はここで預かるということ、これから国際便に乗ってとある研究所に行くことを、ゆっくりなドイツ語で伝えた。

レイはその半分も理解できなかったが、されるがまま、従った。


降り立ったのは、ノルウェーだった。

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