第12話 探求II

「ミオさ……理系科目が得意だったよな」

「え、まあね」


「たのむっ!時間あるときに教えてくれっ!」


「……また、なんで」

「うちって、中間期末の両方で赤点取ったら留年らしいんだよ……俺、ほんとにやばくて」


レイは自分のテスト結果表を見せた。


「うわ、数I、数A、生物基礎、化学基礎、物理基礎が赤い……これはやばい」

「この高校、部活に入るために結構無理して入ったんだよ……数学と理科の合格最低点は俺だったし」

「そのわりには、国社英がよくできてる

私と変わんないじゃん……」

「げ、ミオ文系科目もできんのかよ……」


「ふっ、学年首席の私に死角は無いのよ

仕方ないわね、部活がoffのときだけよ」


「ありがたい……」


「その代わり、私にも教えてよ……」


ミオは両手でレイの顔を包んだ。


「は……何を」


「レイが見てる、素敵な世界」


「……」


「私も見たいの、ベクトルで表されるというその世界を

……クオリアの共有を……試みましょう」


「どうやって」


「未来に可能性を託すの

今は、レイの言語化に頼るしかないけど」


「……期末、赤点回避できたらな」

「ふふ、ありがと

誠心誠意、テスト勉強に付き合うわ」

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