第3話 心霊スポット


今日も智亜美は友達の咲、葵、琴音の三人と一緒に仲良く下校中であった。


「皺女トンネルって知ってる?」


智亜美は顔を下に向けて話しはじめた。


友達三人は皆で智亜美のほうに視線を向ける。


「そこは呪われたトンネルで、絶対に女性を連れて入ったらダメらしいの」


「大樹と緑里ってカップルがいてね。デートの帰りにそこのトンネルに入っちゃったらしいの」


三人は興味津々に智亜美の話を聞いている。


「カップルはカツン…カツンって足音をたてて歩いて行ったの」


「やがて緑里の呼吸が乱れ始めたのよ」


「大樹は心配になって緑里の手を握ったの」


「トンネル内は薄暗くてお互いの顔が見えないから不安が募って行くのよ」


「やがて、出口が見えて明かりが射してきたの」


三人の鼻息が荒くなっていた。


「大樹は緑里に大丈夫か?って言って振り向いたのよ」


「そうしたらね……」


三人の手に力が篭っていた。


「そこに居たのは、顔はシワシワで髪の毛が真っ白になった老人の姿になった緑里だったのよ」


「皺女トンネルの入口にはね。女人立ち入るべからず」


「そう書かれていたのよ」


「二人は立て札を見落としていたらしいの」


「そこのトンネルは女性の生気を吸い取ってしまう呪われたトンネルなんだって」


四人は引っ付いた状態で歩いていた。


「そしてある日ね。一組のカップルが何も知らず、そのトンネルを訪れたの」


「二人はキャー怖いわぁとか言いながら、笑い声を出してイチャイチャしながら進んで行ったのよ」


「やがてヒールのカツン…カツンって音が遅くなってきたの」


「はぁはぁ言いながら二人はトンネルの出口へ辿り着いたんだよ」


「そうしたら前の方からやって来る農作業をしていたおじさんに出会ったの」


「おじさんは驚いた顔で二人を見つめながら話かけたのよ」


「お…おめえら今そのトンネルを通ってきたんか」


「このトンネルはおなごは通っちゃいけないんじゃ」


「おじさんは震えながら二人へ説明をしようとしたの」


「その時ね…」


「カップル二人は見つめ合って急に狂ったように笑い始めたんだよ」


「おじさんはその姿が恐ろしくてがくがくぶるぶるとしたままだったの」


「それを見たカップルが言ったの…」


「私はまだ手術してないから大丈夫よ♪」


「髪の長いスラッとした女性に見えていたのはニューハーフだったのよ」


「暗いトンネルだから途中で興奮してキスしながら歩いてたんだって」


カツン…カツン…


「あれ?いつの間にか皆の姿が…」


智亜美はいつの間にか一人でトンネルの中へと足を踏み入れていた。


三人が入口で何やら立て札らしき物を囲んでいる。


カツン…カツン…


その後、智亜美がどうなったのかはわからない。


ちーーん

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