第5話
「――っ痛! ここは⁉」
何か強い痛みが感じられたというこはどうやらまだ死んでは無いらしい。
それにしてもなんだよあの痛み!
スタンガンで撃たれたみたいだったな、撃たれたことは無いが。
「ほらいつまでボーっとしてるの! はやく助けて! はやくここから出して!」
聞き覚えのある声の方を見ると鉄の扉の奥でエヴァが喚いていた。
「ここから出しって、そこ留置所の裏口だよな? お前何でそこに居るんだ?」
「えっ! なんでって、ぐっ偶然よ。ただの偶然。けっ決して一人で逃げようなんてこれっぽっちも考えてないわ」
すごく胡散臭いんだが。
「ねー早くここから出して! ねーえ! はーやーくー!」
こいつもいちいちうるせーな。
「ナオト! あれ! あれ! 何か中にいる! 早く! 早くこの扉を開けて!」
今度は何なんだと扉の窓から中の様子を見てみると――
エヴァのいる廊下の奥には巨大な身体を無理矢理廊下にねじ込み壁を徐々に破壊しなが進んできているスゲーキモいスライムがいた。
「うっわ! それにしてもでかいなあれ。この世界のスライムって結構多きんだな!」
「何呑気にしてんのよ! 早く! 死んじゃう死んじゃう! もう何でも言うこと聞くから助けて!」
「っ!? 今、何でもって言ったな? しょうがねえな。助けてやるよ」
「ありがとうございます! 感謝します!」
エヴァに何度も感謝される中、まずは小手調べに扉の取っ手に手をかけ開けようとすると……。
あれっ!? おかしい。
さっきまで必死にエヴァがを押しても開かなかったはずのこの扉が俺が開けようとすると少し動いたのだ。
あれ? もしかして俺って異世界に来て凄いパワーとか得てしまった? これが主人公の力っと一瞬思ったがよく考えると。
「おいエヴァ。この扉、引き戸だぞ……」
と扉を開けながらそんなことを言うと。
「ひっ引き戸? そっそんな事知ってわ。ナオトがしっかりしているのかをテストしたのよ!」
と格好を付け俺に指先を向けてきた。
「あっそう」
「え。反応薄くない!? あっちょっと待って。置いてかないで!」
今さらだがやはりこう言う奴はほっておくのが一番だな。
まだ周りが騒がしい。
はやくどこかへ隠れなければ今にも何かに潰されて死んでしまいそうだ。
あーあ、これが異世界生活の始まりか……。
留置所に閉じ込められ、ドラゴンに襲われ、バカの相手をして本当に大丈夫なのだろうか。
ああ、早くお家に帰りたい。
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