第肆話
何だよあれ……。
恐らくさっきの爆発で崩れたのだろう。
目の前の廊下の天井が無くなり、外がくっきり見えるのだが、目に入ったのは10メートルを優に超えているであろう本物のドラゴンだった。
そしてこれがドラゴンか、とつい初めて見るその威圧さに目を奪われていると――。
「「あっ……! これヤバイやつだ……」」
ドラゴンと目が合ってしまいました。
目が合った瞬間、ドラゴンは耳をつんざくようなけたたましい雄叫びをあげながらこちらへ突っ込んできた。
突然の出来事に呆然と立ち尽くしていると。
「何やってるの!? 早く逃げるよ!」
とガウナに手を連れられ走り始めた。
「なっなあ、あれってドラゴンだよな? 本物だよな?」
「だから何だよ。見たら分かるだろ? そんなことより早く走って! 喰われるぞ!」
「あーはいはい。でも大丈夫だって、こういう危機的状況になったらガウナみたいな美少女が俺を助けてくれるのが常識だからさ!」
「美少女ッ! ……ってこんな時に何言ってんだよ! まあでも、そんなこと言われたらやってやらなくもないんだけどな」
こいつチョロいな。
「危ないからあそこの路地に隠れてて」
と少し先にある路地を指差して言ってきた。
「危ないって、やっぱり助けてくれるんだな!」
「ちげーよ、このままだとお互い死んじゃうからだ。それにそのあとあのドラゴンがまた人を襲うかもしれないだろ!」
まあ助けてくれると言うことなのでそっと応援することにしよう。
今の俺にはどうすることも出来ないからな!
路地から顔をだしてそんなことを思っていると。
「『サンダーボルト』!」
ガウナがその言葉発した瞬間、ガウナの手から雷のようなもながドラゴンへ向けて放たれた。
「おお、これが魔法ってやつか! スゲーな!」
「そっそう? 私って凄い? ウフフフ……エヘヘヘ」
とガウナが俺の方を見て照れていると。
「ガウナ! 後ろだ! まだあいつ生きてるぞ!」
「えっ!? まだ生きてんの? ナオト路地に隠れて! 絶対に体を出したらダメだからな!」
と言ってきたが隠れろと言われると隠れたくなくなるとのが人間の心理、まさりカリギュラ効果に直面している俺だがもちろんすることはただ1つ。
堂々とガウナを凝視すること。
「さあ、ガウナ様の力を思いしりなさい! 『ショックウェーブ』!!」
とガウナが言った途端辺りが少し揺れ始め、ガウナの足元の地面が大きく割れたと同時に空気の壁がガウナを包んでいた。
その様子を数秒間みていると急に空気の壁がガウナを中心に辺りへ広がっていったのがわかった。
その空気の壁は植物をなぎ倒し、地面を抉り、建物を破壊し、ガウナの目の前にいたドラゴンさえも瞬時に消し去った。
そしてその壁のスピードはとどまることを知らず尚も広がり続けている。
そう、俺のいる所までもだ。
「あっ、終わった……」
目の前に広がる暗い虚無の空間。
ああ、これが死と言うものなのか。
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