第参話
耳をつんざく轟音が壁の外から聞こえた。
「おいおい、なんなんだ? 爆発音みたいなのが聞こえたんだが」
と不安を露にした様子で言うと。
「どーせ、またあれでもしてるんだろ……気にすんなよ。あっ! もしかして怖いのか? お前も爆音系がダメなタイプか?」
「こっ怖くねぇよ。何言ってるんだよ」
別に怖くなんかない。
ただ、俺が今までに一度も耳にしたことのない音だったから少しビビっただけだ。
と言うかあれって何だよ。気になるだろうが!
そんな事を考えていると、鉄と鉄が擦れあう音やズシズシといった重い足音と共に悲鳴が聞こえた。
「おいおいおい、本当に気にしなくていいのか? 悲鳴みたいなのも聞こえたぞ……」
「だっ大丈夫だって! 大丈夫……。 うん、多分……大丈夫かな」
「おい、何でした向くんだよ!」
「いやいや、大丈夫、大丈夫。ここはこの街の中でも上位を争うほどの安全地帯 だから、こんなので穴が空いたり、崩れたりしないって!」
まぁここが安全と言うことはわかった。
確かに、留置所が脆かったら簡単に脱獄できるから脱走者が続出するもんな。
と俺とガウナが気を抜いていると……!
「「……ッ!?」」
すぐそばで何か当たり砕けたような音がし、ふとその音のした方を向くと目の前にあったはずの壁や檻が一瞬のうちに煙と化していた。
「やったね! これで脱獄できるよ!」
「何が『やったね!』だよ。 全然安全じゃないじゃん!」
「とにかくここから出るぞ。気のままだと下敷きに成りそう……だ……」
「ん? どうした、ガウナ?」
とガウナの見る先を見ると――。
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