恋のアイスクリーム

恋心に100のダメージ!!!!




……なんて。

頭が真っ白で、その文字だけがくっきりと浮かんで見えた。

それくらい、衝撃だった。


だって、まさか、

私が相手好きだった相手には、

本命がいて、

私は遊びで、

私は二番目。とか思っていたら、

私と同じような人は何人もいて、

私は、

10番目。

10番目の女だった。


なにそれ、ありえない。


「うっ……ひっく……くそっ…最悪だバカっ……。」


なんだよ10番目って。

本命以外に私含め9人と付き合ってたの?

すごいね、あんたの股間はどうなってんのよ。

尊敬するわいろんな意味で。


「あーもー。あんな男知らない。大嫌い。大嫌いに……なるの……。絶対…嫌いなの…っ…うぅ…。」


初めて出来た彼氏だった。初めて好きになった人だった。私の初めては、全部あの人だった。

最悪だ、い今すぐ過去に戻りたい。


「おいブス。いつまで泣いてんだよ。」

「?!なんでいんのよ!!!!」


なんで、窓閉めたでしょ私。

家の鍵も、しめたはず。

コイツが、進入できる場所なんて……。


「ばーか。お前んち入るなんて簡単なんだよ。」


そう言ってちらつかせてくる合鍵。

私の合鍵の場所教えていたのを忘れてた。

サイアク……。よりによってコイツに泣き顔見られるなんて……。

一番見られたくない相手だってのに……。


「笑いに来たんでしょ。初めてを捧げた男は、10股してて、ふられて、ざまぁって……、ひっく……、笑いに来たんでしょ!」

「アホか。慰めに来たんだよ。」


ほらよ。といって差し出されたのは、私の大好きなチョコミントのアイス。

コイツしかしらない。

あの人は知らない。

私の一番好きなアイス。

期間限定のアイス。


チョコミントのアイスが出る頃に、あの人はいつもいなかった。

いつも仕事で忙しいと言っていた。

それを私は信じていた。

馬鹿だから。


「……おい……ひい……っひっく……うええ……。」

「食いながらなくなバカ。食うか泣くかどっちかにしろ。」


いつの間にかコイツもアイス食べていた。

チョコミントではないけど、コイツの好きなアイス。

あの人が嫌いなアイス。

あの人とは真逆の。


ひとくち、ひとくち、大事に食べる。

コイツがかってきてくれたアイス。

あの人のことを、ひとくちごとにスプーンに乗せて胃へと流していく。

そのまま消化されるあの人への思い。想い。憶い。



すべて、アイスとともに、溶けていく。



さようなら、初めて愛した人。

もう二度と会うことはないでしょう。



「(なぁ、俺にしとけよ……。)」

「なんかいった?」

「なんもねえよ。」


相変わらず、チョコミントのアイスは美味しくて、思い出も気持ちも溶けていった。

あとに残るのは……。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

今日のラムネのお味はいかが? 柚雨。 @yuu_1527

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ