木材入手
さて、木材を入手する方法。それは思いつく範囲で、二通りある。
1つ目は、無難にどっかの店から購入することである。
そしてもう一個、それが所謂ギルドで受けることができる報酬による入手だ。
前者であれば、それなりの金がかかり、後者であれば都合よく木材が報酬の依頼があるかも謎である。ギルドで受けられる依頼の報酬は、大きくわけて金と物のどちらかで、どちらも同じくらいの割合で存在する。
金はなるべく節約したい。引っ越してからはこちらで固有魔法を使って金稼ぎしようと思っていたので、職も探してないし。
と、云う諸々の事情により俺はギルドに向かうことにした。
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「こんにちは!今日はどのようなご要件でしょうか!」
道行く人に道を訪ね、たどり着いたギルドのカウンターの向こうにいる、受付のおねーさんがめっちゃ可愛い。そして元気。俺はそれだけで元気が出た。
「冒険者への登録をお願いします」
ギルドで依頼を受けることは誰でもできるが、それが冒険者として登録されている人に限られる。冒険者登録は誰でも気軽にできるので、まぁそういうことだ。
「はい。かしこまりました!お名前をお伺いしても宜しいですか?」
「あ、はい。クコ・レグラウスです」
「ありがとうございます。クコさんですね。それではこちらに手を置いていただいていいですか?この石は魔力からその人の履歴や、情報を読み取ります」
そういって受付のおねーさんは何やら手のひらサイズの石をカウンターの上に出した。この手のやつはだいたい魔力を感知し、犯罪など起こしたかどうかなどが分かるものだ。犯罪とか起こした場合、そういったものを取り締まっている軍に犯罪を起こした経歴をステータスに刻まれるため、こうして読み取れるわけだな。俺は特に今まで犯罪を起こしたこともない真っ白な人生なので、問題はないだろう。
「これで得られる情報ってどこまでわかるんですか?」
「ええと、年齢、職業などで、細かいステータスなどまでは分かりません!」
ふと疑問に思い質問したが、そこら辺はちゃんと人権とか守られるらしい。固有魔法のこともあり、どことなく心配しながらもやるしかないか、と石の上に手を翳す。すると石が青白く発光し、体からナニか、すっと抜けるような感覚がある。魔力が少し抜き取られたのだろう。
「ありがとうございます!もう大丈夫ですよ」
石の光が消え、手を戻す。受付嬢のおねーさんが少し待つように話し、後ギルドの奥の方に行ってしまった。
手持ち無沙汰になった俺はギルドを眺める。ガヤガヤとしていて、とても賑わっていた。俺のような明らかに一般人に見える人から、ゴリゴリのマッチョまで色んな人種がいてなかなか面白い。その中でもわかりやすい、冒険者と呼ばれる彼らは甲冑などの装備に身を包み、楽しげにパーティの仲間と話あったりして、とても楽しそうだった。いいなぁ、と思いながらも俺は冒険者ではない。受けたい依頼も、モンスター討伐ではなくて薬草採取とか、はたまた家の修復とかそういう雑用的な内容を探しているのだ。俺は真っ当な一般人なので。
そんなことを考えていると、受付のおねーさんが奥から戻ってきた。
「お待たせしました。えっと、それでは改めまして、私の名前はリミールです。よろしくお願い致します!」
「お願いします」
「まずこれがギルドカードになります。説明はいかが致しましょうか」
そういって受付のおねーさん、リミールさんが手のひらに収まる、透明なカードを差し出す。カードには白文字で何やら色々と書かれており、大きくEという文字と、俺の名前が見えた。
「お願いします」
「はい、わかりました!ギルドカードというのは、使用者の魔力に応じてその度に内容を更新できるものです。例えば、今 Eランク と書かれていると思うのですが、この冒険者ギルドで何個かクエストを受けて貰ってランクが上がった時、クコさんの魔力とギルドの手続きによりカードを変えなくてもDランク という表示になる……って感じです!とても便利ですよ。冒険者ギルド以外にも、身分証としても使えますし」
「なるほど……」
現在俺は、Eランクらしい。ランクをあげるには何個かクエストをクリアしなければいけないらしい。取り敢えずランク上げとか目標ではないな。
「何かクエストを受けてみますか?」
「あぁ、えぇと。俺戦闘とかはあんまりできないので、雑用とかの依頼で木材が報酬になってるのとかって、ありますか?」
「非戦闘の物で、報酬が木材……少々お待ちください」
そういうとカウンターの奥でリミールさんが何かを操作し始めた。あまり待たない内に、リミールさんが顔を上げる。
「そのような依頼は現在お受けしておりません。申し訳ありません」
やっぱ無かった。まじかぁと内心ボヤきつつ、リミールさんにお礼を言う。
「ありがとうございます。それじゃ俺はこれで」
「あの、木材をお探しならおすすめの店知ってますよ」
「え、ホントですか?」
「はい。知り合いでそういうものを扱ってる人がいて…」
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