第二目標
やっと届いた荷物
「どーもー。引っ越し屋でーす。お取込み中失礼しまーす」
あ。
「あ、どうも、すんません。ありがとうございます」
忘れていた。すっかり存在を忘れていたが引っ越しの荷物は今日つく手はずだったのだ。
「お預かりしていた荷物をお持ちいたしましたぁ」
確かに実家で運送を頼んだ引っ越し屋はやや間延びした声で話す。
「こちらでよろしいですねー?」
そう言って運送屋は半分に割れた木の板を見せてくる。俺は慌てて家の中に入りカバンから同じような木の板を引っ越し屋に見せると、引っ越し屋はその二つをぴったりと合わせる。そうすればその境目が一瞬光ったかと思うと、二つに割れていたとは思えないほどきれいにくっついた。
これはよく運送などをする仕事の人間が使う道具で、その木の板には二つの魔力を籠めることが可能になっており、二つの魔力を入れると一回目は真っ二つに割れ、二度目は磁石のようにお互いが引き合う。基本的に魔力は人それぞれで違うものだ。持ち主である引っ越し屋の魔力と、俺の魔力がちゃんと入った物です、という証明は完了した。番木などと呼ばれるそれはちゃんと正しい持ち主との交換が成立していると魔力で証明する大切なものなのだ。
番木がぴったりとくっついたことを確認した引っ越し屋は、ではお荷物をおもちしますねぇーと、小道へと戻っていった。森に囲まれたこの家に馬車は入ってこれなかったらしい。俺も荷物を運ぶのを手伝おうとその後を追った。
引っ越し屋とともに、馬車から何個か袋を持ってきた。引越しの荷物と言っても本や、日常生活で必要なものばかりなのに、そこそこ重量があった。
「それではぁー…」
「あ、はい」
こちらの世界ではこういった運送業者などの支払いは現地でということになっている。金、と催促するように出された手に若干不満を覚えつつも俺は支払いを済ませる。
「まいどあり~。今後ともごひいきにー」
間延びしたやる気のなさそうな業者が去ったあと俺は次に何をしようかとその場で立ち止まる。やりたい事は山ほどあるが、どれから手をつけるといいのかもわからないという状態なわけだな。うーん……
いや待て俺よ。引越してきてから家の掃除しかしていない。家の中には内装が無いそu……
住み心地のいい我が家にするためにまずはリフォームといこうじゃないか!
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