夢のマイホーム
俺は実家(王都から少し離れた農村に俺の実家がある)を出てを出てそのままニューマイホームがある王都へ向う。王都はここの国で一番栄えている都市であり、中心街に家を建てればそれなりに高くつく分、その広大な都市の辺境はかなり安くで家を手に入れることが可能となる。充実した生活にはそれなりに便利性も問われるというものだ。その点、王都の端に家を構えることにした。
実家から出発して半日ほど馬車で揺られていれば、王都に着く。そこからは徒歩での移動になった。馬車で母親から渡されていたパンを腹に入れておく。
金利と利息とその辺の面倒な手続きと、両親に生まれてこの方ずっと頼み込み続けて、やっとのことでローンを作って購入したマイホーム。先の通りマイホームは王都と言っても端の方の、森に面している地域にある。何度も足を運んでこの家を選んだ。
馬車を下りてから暫く歩いて、周りの景色が住宅街へと変化してきたころ。朝市などが開かれる通りから少し歩いたことろにある一軒家。俺はやっと家に着いた。実家から大体5、6時間かかった。あたりはもう日も落ちかけていたが、今日からここに住むのだと、気持ちが高まる。
周りが森に囲まれ、静かな良物件だというのに全く売れず安くで売られていたこの家。お化け屋敷というには小さすぎるが、ボロボロで近寄り難い雰囲気がある。
でも、俺はそこがいいと思った。この家を選んだのは、安いということもあったが、周りが森ということで他人の目を気にすることなく生活できると思ったからだ。それに手入れしていけばきっと良い家になるだろうと想像できたから。
早速、家のドアを開け中に踏み込む。
ファッサァと舞うホコリ。…これは汚い。引越し早々やることは掃除らしい。
しかし、おおよそ半日移動時間に費やした体は疲れていた。だがこれはひどい。休みたい気持ちを抑えて、掃除に取り掛かる。
「もっとゆっくりしたかったんだけどなぁ……
はぁ。固有魔法、
適当にカバンの中から拳サイズの石を取り出し握る。それを頭の中で掃除機に変換するようにイメージする。暫くすれば周りから白く光る光の粒が集まってきて、イメージした通りに掃除機が出来上がる。掃除機といっても、前世で使っていたような電化製品ではなく、筒状に突出したホースの先端にゴミを回収する層があり、吸引自体は簡単な風魔法による動力源で動く簡易的な掃除機である。
「やっぱ石だと時間かかるな……」
あとプラスチックではなく石なのでそれなりに重量もある。改良の余地しかない。
疲れて休みたい気持ちに鞭を打ち、掃除機でホコリを吸いながら壁が空いていることろがあれば魔法で塞ぐ作業を繰り返す。壁の修復にも石を使ったため、念のため使いやすそうな意思を重くても持ってきていてよかったと思う。
購入した家には家具はひとつもなく、部屋は3つ。今後増設していけばいいだろう。特になんの発見もなく掃除を終えれば、もう日完全に沈み夜の蚊帳が落ちていた。残りの細かな生活用品は明日届くようになっている。寝床がないのは困ったが、修復と掃除とで体力はもう限界そうだったのでカバンを枕に、実家から持ってきていたブランケットをかけて地面で寝た。
そういえば昼飯しか食べてない。しかし馬車に揺られ、掃除をし、疲れた体では食欲より睡眠欲が勝り意識はすぐ微睡へと引き込まれてゆく。
「おやすみなさい」
ぽつりとつぶやいた。
返事がなくて、独り暮らしとはこういうことだと今更感じながら俺は寝入った。
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