あなたがいなければ、生きていけない

黒豆

第1話出会い

俺は、誰とでも仲良くできる人間が嫌いだ。誰かとしか仲良くできない人間の方が、きっと仲良くなったとき心から通じ合えると思うからだ。そんな誰かとしか仲良くできない人間と出会った寒い冬の出来事…

寒い…いつも起床すると思うことはそれだ。起きて、顔を洗って、飯を食べて、歯を磨いて、着替えて、同じことのサイクルでうんざりする。なんで生きているんだろうといつも思う。意味なんてない。自分で自分の人生は意味付けするものだ。そんなことはわかっている。でもわからないんだ、たぶんそんな人間は多いと思う。

けだるい気持ちで、学校に向かう。幸い今日はテストだ。頭にため込んだ公式や、単語をやっと放出できる。学校につくと、教室にはテスト特有の圧力というものがあった。そんな中俺は、流れるように席についた。俺の席の隣に、見慣れない女が席に座っていた。俺は記憶の中を探って思い当たる名前を浮かべた。ああ、確か不登校児の希恵紗子だったか。テストの時だけきていた気がする。いつもはテストに集中していたので存在すら忘れていることが多い。まあ、どうでもいいかと思いテストに集中した。テストの最中急に希恵が泣きだした。そして俺を見つめてきた。目の中に滴をため、ゆらめくように見えるその眼差しは弱弱しい。俺はどうしたらいいのかわからなかった。そもそも接点がないからである。よく見ると希恵の手には、白紙の答案があった。そういうことかと俺は察し静かに俺の答案を見せた。

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あなたがいなければ、生きていけない 黒豆 @96001202

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