何となくクライマックス感

「うごけ・・・!」


気合いを入れる様に叫び、重い操縦桿を動かす。

俺の叫びに応える様にモニターに次々とノイズが走り、点滅を繰り返していく。


「こんな所で、終われるかよ、そうだろ・・・!」


まだ何もやっていない。まだ何も為せていない。

こんな所で終わってはこれを作ってくれた皆に何て言えばいい。

俺は負けられねえんだよ。そうだろ相棒。動け。


操縦桿をありったけの握力で握り、相棒に起きろと願う。

無茶な願いだ。こいつはもうほぼぶっ壊れている。

けど、それでも――――。


「お前なら、まだ動ける!」


ありったけの想いを、乗せたコイツは、応えてくれる。

皆の願いが込められた、コイツなら!


そして相棒は嫌な音を全身から鳴り響かせながら動き出し、背面のブースターふかしだす。

これが最後だ。もうこれ以上お前の我が儘は聞けないぞと言っている様に聞こえる。

でもそれで十分だ。行くぜ相棒。


「後の事は考えるな、燃料がどれだけあろうがもう動けねえ。全力でブースタふかして突っ込め!」


豪と音をさせ、いきなり最高速を到達させる勢いで相棒が飛び出す。

その勢いで相棒の足が、胴が、頭が自壊している。

それでも止まらない。止まれない。


「勝つぞ、相棒・・・!」


当たり前だという様に、外部音を取り入れるスピーカーに凄まじいノイズが走った。

一人よがりな思い込みかもしれない。コイツに意思なんて無いのは解ってる。

けど、それでもここ迄一緒にやって来た相棒なんだ。


「俺も最後まで付き合ってやるからなぁ!」


最後の、本当に最後の一撃が届く。核を潰す為の最後の一撃。

俺も相棒も、その衝撃で吹き飛ぶだろう。

構わない。これで終わる。俺達の勝ちた。なあ相棒!

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