エピローグ
宮殿崩壊後、俺と閃凛は北東にあるリムダーフの仲間が眠る墓にやってきた。
まだまばゆいばかりの夜空と地平線に薄っすらと赤みが帯びた空のコントラストが非常に綺麗だった。
色とりどりの花と果物、酒、右手につけていた員章バングルを墓石の前に置き、墓に向かって言った。
「俺の故郷日本では、墓に花や酒をお供えする文化があるんだ。この世界はどうかわからないから失礼に当たるなら謝るよ」
俺と閃凛は墓の前で目を閉じ、手を合わせた。
「皆の仇はとったよ。これでイレドは終わりだ。奴隷もできるだけ解放した。リムダーフの一員としてよくやったほうだろ?」
閃凛の目に涙が浮かんでいる。それを見た俺もつられそうになった。
「セギィ…君達の意志を継ぐのは、俺達はここまでだということをどうか許してほしい。…言ってなかったけど、俺の目的は地球に帰ることなんだ。これからはその道を歩むことになる」
涙がこらえきれず、俺の頬につーっと溢れる。
「でも…君達の信念はずっと俺と閃凛の中にある。それは忘れないよ」
「イセイ…アジィ、皆…皆大好きだったよ…」
閃凛は墓石に抱きつき、最後の挨拶をした。
「お別れだ…。君達と出会わなければ今には至らなかった。ありがとう。そしてさようなら」
「ばいばい!皆!」
俺達が去ろうとした時、声がした。
[ ありがとう ]
俺はハッとして声のした墓を振り向いた。だが何もなかった。
「どうしたの、航?」
「……いや、なんでもないさ」
空耳か…いや、ここは異世界でファンタジーなんだから―
第一部完
異世界の神々に地球人からの鉄拳を! 日夜暁 @nichiya-akatsuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界の神々に地球人からの鉄拳を!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます