第7話 黒龍襲来前


ひたすらに長い道を歩いていた。空はどこまでも晴れ渡りながらも、

私の目に映る太陽はどこかくすんでいる。すべては、先ほどのスーパーで

起こった事件のせいだ。私はおもむろにスマホを取り出し、ある言葉を

ネットで検索してみる。その言葉とは、もちろん「姉」だ。



姉 同じ親から生まれた年上の女



やはりか・・・。姉は私がどうあれ身勝手に女の人のことを意味するのだ。

悲しみから多少ポエミーな気分になりつつ、私は歩を進める。

このまま家に帰れば、確実に私は断罪されるだろう。というか、この表現からも

わかる通り、私自身も女性との接触を罪と認めている節があるのだ。

なぜ、このようになってしまったのか。なんだかんだで私が彼女のことを

大好きである。そんな意見もあるだろうし、割と事実であることは間違いない。

しかし、本質は彼女の余りの強大さ故であろう。昔、私は自身の能力を使い、

時間を止めたことがあった。正直、当時の私はこれで確実に勝ったと思い、

今までの分、ミカに悪戯しまくったろうじゃないかいと下卑た笑みを浮かべていたが、

その瞬間に、私はすでに悪戯されていた。煩悩から、賢者へのスイッチング。

その亞光速のスイッチングは私を彼女に隷属させるには十分すぎるほどの

衝撃だった。消え入りそうな意識の中、かろうじて、なぜ?とだけ問うことが

できた。その時彼女は、愛しているから。と答えた。あぁ、私の妻超かっこいいなぁ

と思いながらブラックアウトしていった。

懐かしいなー。まだ当時は二十代くらいだったはずだ。いやーあの頃に戻りたいよ

全く。


そんなことを頭の中で循環させるうちに、ついに家にたどり着いた。

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