深淵

雪峰 若葉

第1話深淵

「オタクは夜起きる。」

 これはオタクである私を嫌う父や親戚の言葉だ。私にも夜起きているのには理由があるが、反論はしない。めんどくさいから。下手に出たら暴力、暴言が待ち構えているのは16年間生きててわかっている。

そのためか目には光がない。これに気がついたのは小学3年生。まだオタクではなかったものの、勉強も習い事もうまくできない私は怒られる度に心は深くへ沈んだ。うまくいったとしても褒めてもらうことなどないのだ。

   ―私は何故生きてる?

      私は何を求めてる?―

筆者である私は夜が好きだ。夜といっても深夜である。静かで、少し寒くて…

闇に溶けることができるから…

深淵の闇では誰の声も聞こえない。視線も感じない。私の理想郷だ。

私が夜が好きなのは真っ黒に穢れてしまった心と光のない目が闇に溶けてしまうから。

父や親戚の目に触れずに済むから。

父や親戚を特筆しているが、私には母もいる。

だが、母は私に関心はなく基本的には妹へ愛を注いでいる。愛を注がれ育った妹は明るく天真爛漫な子になった。

しかし妹も父と同じく私を嫌うようになった。

「気持ち悪いアニメを見る姉。」

かつて私にそう言った。

私は頭に血がのぼり、妹の横っ面を張った。

悲しかったのだ。以前まで対等に接してくれていた妹でさえ、私を奇異、哀れみ、蔑む目でみるようになったことが。

社会は事件があるとなにかしらアニメから荒を探す。そしてオタクを差別する。

私は闇に溶ける。家族、社会の目に触れないように。

そうすれば満足なのでしょう?

父、親戚、そして社会の方々。  

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深淵 雪峰 若葉 @luma_girl8828

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