第7話 キリガイ 1

俺は随分とこの廃棄の溜まり場にも慣れて来た。最初は、こんな場所で居場所が見つかるわけが無いと思っていたが、飛んだ思い込みだ。俺にはここが一番いい身体を浮かせられる場所だとわかった。だが、世の中は残酷な行く末だ。いや、もうカウントダウンは始まっているのかもしれない。ある一人の人間の再生というチャイムが鳴り出す。



赤い点々模様、黒白模様の交差する世の中、僕らキリガイが最も輝く瞬間がこの時だ。

「行くぞ!ここからが本番だ。」

俺はいつものように、依頼の最終段階に入るとこのことばを凛に言う。そうすると凛は、「そうだね。空は気持ちいよ。」

と言う。この言葉は暗号だ。俺にはまだ解読できていない。


俺と凛の出会いは、キリガイに捨てられた8歳からの付き合いだ。俺は寂しかった。とっても心細かった。誰かの赤が欲しかった。温かまりが欲しかった。俺は強欲だった。

汚い場所から解放され、自分の欲がこんなに汚れているとは知らなかった。でも凛は、俺の事を、

「ねぇ!君って面白いね。考え事をする表情で分かった。寂しいんだね。」

俺は自慢ではないが、目つきが悪く、側から見ると怒っているように見えるのに、なぜ分かったのか。それは簡単なものだった。僕は気が抜けており、涙が浮かんでいたからだ。

なんだ、そんなことか。

でも非常に嬉しかった。前は、ただ汚い仕事をして、身も心もズタズタだったから。

ヘマして捨てられて、こんな気持ちになれるんなら、もっと早くヘマすればよかった。


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