第4話 卑劣な獣

「甲さん、空さん、少し出かけま、、」

事務所には椎名さんと凛さんの姿がなく、二階に双子の生活空間があり、声をかけようとドアを開けた。僕は唖然とした。

双子がいないのはすぐにわかった。

いかにも病んでますと言わんばかりの空間。

一面中、真っ青の部屋で真ん中の机の上に、点滅しかけているランプが置いてある。

窓が置いてあって本当に良かったと感じた。

少し部屋の中に興味を持ち、散策することにした。

部屋にはほとんど物がなく、ベットも一つだけで多分2人で寝ていると推測が立つ。

そんな風にかれこれ30分程度の散策。初めて、人の部屋に入った。

その散策でわかったこと。

あの双子は、狂ってる、、、

ということ。



「ただいま戻りました。」

双子達が帰ってきた。早めに切り上げて正解だった。

「おかえりなさい。どこ行ってたんですか?」

「あー!一応警察の方にね。」

「そうですか。」

あまり聞いてくれるなという、妙な雰囲気だったので、あまり聞き込むことが出来なかった。


その夜、甲さんが僕の部屋に来た。

(あっ、ばれたかな?)

「あの、竜、、あの部屋はね、、、」

やっぱり、その話だ。だが、部屋に無断で入ったことは咎めなかった。

「あの部屋は、私たちを守ってくれる、助けてくれる場所なんだ。凛さんが、言ってくださったんです。」

どういうことだ?

「ごめんね!勝手に入っ…」

急に甲さんの顔が変わった。…怖い。

「竜ってさ!自分の中の地獄の奥底に行ったことある?」

いつもは丁寧な言葉遣いなのに、急にどうして?

「あのね、俺たちは三兄弟だよ!俺は比良だ。よろしく…りゅーうーくん。」

僕の知らない、甲の姿をした獣のような目つきで、笑った。


「痛い…痛いってば、こ、、比良!」

気がつくと、ベットの上にいた。

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