第2話 始まり

僕がこの探偵事務所に入って一週間。やはり変わり者ばかりだ。

「しかし不便極まりないですね。今年は去年より依頼が多くなって、頻繁に坂東さんのとこで車を貸してもらわないといけなくなりましたし。」とやけに丁寧な話し方をするこの彼は、草場 甲だ。

「あー、、、」

そしてこの無口な彼女は草場 空だ。この2人は双子で、まだ18歳だという。この2人は、僕が属している探偵事務所の先輩だ。

だがもう少し敬語があってもいいんじゃないかと思う。


「依頼だ。南高長の3番地のアロリーという喫茶店に行ってこい。」

椎名さんが僕たちを睨みながら言った。

前に凛さんが言っていた。

「椎名はね、昔から目つきが悪いだけなんだ。だから勘弁してくださいね。」

そんなことを言われても、やはりなれない。

「竜一、早く!」

双子達がなれない名前の呼び名に僕が反応する。

「わかった。」

実はこの一つ一つの言動が新鮮で僕の日常が正常だと証明してくれている気がしてとても嬉しくなる。


一時間半かけてアロリーという喫茶店についた。喫茶店に入って少し行ったとこに、依頼者がいた。金髪の女で、ヤンキー風の雰囲気だった。

「今日はどうされたのですか?」

(えっ?今日は?っていうことは、前にも依頼を、、)

「竜一、この方は河野 梓さん。うちの常連さんなんですよ。」と、甲はいう。その横で空も頷く。

その女は笑いながら言った。

「私、人を殺した」

自慢気に、後悔も恐れもない様子でそう僕たちに告げた。

それか、僕たちにそう懺悔をし、辛い現実から逃げようとしているのか、僕はなぜか冷静でいた。普通なら取り乱すとこなのに、双子は納得したかのように言った。

「大丈夫です。その殺した相手は、今どこですか?」

流石の僕も共犯になるのは避けたい。

そう頭の中で迷走している間に、現場に着いてしまった。

「ここです。」

そう言われて見てみると、口から泡を吹いていた。

「やっぱり、また薬をやったんですね。

しかも、本当に死んでいます。」

何を言い始めたのかと思えば、携帯を取り出し警察を呼んだ。

女は床に倒れ込み、うずくまってしまった。

「梓さん、また薬に手を出したんですね。これは、僕たちにも庇うことはできませんよ。

警察に事情を、、」

「違う!貴方達は、もう終わりよ!

あー、これでいっぱい薬が飲める!あーあーあー、、、」

何を言っているんだ?薬でおかしくなってしまったのか、意味不明なことばかり喋っている。そして警察が来て、女が最後に口にした言葉が、

「あの方が、私を籠の外へと出してくださる。」

そう言い捨て、女は隠し持っていた毒薬を口の中は流し込んだ。





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