第8話 夢とお願い(1)
「父さん、お願いがあるんだ」
僕は自身の父親が帰宅するなり。
自分の部屋から下の階へと慌てて階段をバタバタと大きな足音を立てながら降りて。
僕の親父様がお風呂に入る為に、自身の着衣をしていたスーツやカッターシャツをタンスの前で脱いでいる最中に部屋へと侵入した。
だから家の親父様とお袋様の二人は、自身の両目、瞼を大きく開けた。
「し、新作……。ど、どうしたんだ。急に部屋に飛び込んできて?」
「ど、どうしたの、新作? な、何かあったの?」
僕の両親は二人仲良く驚愕、動揺をしながら僕へと尋ねてきた。
でも僕は二人の問いかけに対して最初は、「…………」と無言。
その後は慌ててその場で正座──。
自身の頭を深々と下げながら。
「お二人にお願いがあります」
僕は家の両親へと土下座をしながら声をかけた。
「新作、儂にお願いとは何だ?」
家の親父さまが首を傾げながら僕へと尋ねる。
だから僕は「え、えっと、えっとねぇ」と、最初は自身の言葉を詰まらせながら家の親父様へと言葉を返し。
「あ、あの親父……。僕が組むローンの保証人になって欲しいのだけれど、駄目なかな?」
僕は自身の頭を深々と下げつつ嘆願をした。
「……ん? 保証人? まあ、別にいいけれど……。じゃ新作、今からローン用紙を持ってこい。儂が書いて印鑑を押してやるから」と。
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