【2】―― ドングリ3つ

 その翌日――またアイテムが届いた。

 オレは昨日の辱めがあったせいで警戒心たっぷりで恐る恐るプレゼント箱を開けたが、中には一回り小さい箱が入っているだけだった。だけどメッセージカードがある。


『ユウくん。1つ目のアイテムに懐かしさが込み上げて涙がちょちょぎれちゃったかな?(爆)』


「――なわけねぇだろ」


 死んでもなお、無神経な爺ちゃんの字……。オレは能天気にダブルピースで笑っている遺影を睨んだ。っていうか、(爆)好きだなオイ。


『2つ目のアイテムは、ユウくんが遠足で拾ってきたドングリだよ。』


 ドングリ――ってことは、この箱を開ければ入ってるってことか。

 オレは折り紙で作られたであろう、薄い紙の箱を開ける。するとまた一回り小さい箱が入ってて、それを開けるとまた箱があって――と、マトリョーシカのようにいくつも箱が重ねられていた。すでに4つ開けているのにまだ続いている。

 ……なにこれ面倒くさい。

 開ければ開けるほど、部屋は役目を終えた箱で散らかっていく。


「爺ちゃん……ここまでしてオレに嫌がらせを……」


 なんだか泣けてきたぜ。箱全部手作りとかさ。そうまでしてオレをいじめたいんだな。

 ……うん、分かったよ爺ちゃん。2親等のよしみだ。――最後まで付き合ってやるよ!


「なめんなよクソ爺いぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

「ユウあんた、死んだ爺ちゃんに凄むの止めなさいって言ってるでしょ? まったく内弁慶なんだから」


 母親がまたしてもオレが日常的に遺影に向かって吠えているかのように嗜めるが、勿論こんなことしたのは初めてだ。

 お母さん。13年間育ててもらってなんだが、あなたの息子はそこまで非常識な人じゃないんですよ。


「オワタァァァ!」


 ケンシ〇ウ風に13個目の箱を開けると、そこにはカードに書かれていた通りドングリが3つと、小さく折り畳まれた手紙が入っていた。

 これだけ厳重にしまわれてた手紙だ。一体どんな重要なことが書かれているんだろう。

 オレは若干の胸の高鳴りを感じながら手紙を開く。


『1番キレイなドングリを爺ちゃんにあげるねって、ユウくんが選んでくれたんだよ。 だけど1番なのに3つあるって、なんでだろうね? ユウくんて昔からそういうとこあるよね(爆)』


 オレは手紙をくしゃくしゃに握り潰し、散乱している箱の残骸に叩き付けた。

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