第4話 設計事務所への再就職事情

設計事務所の就業経験があるといっても、再就職は難しい。


「模型づくりが得意」というと、ちょっと興味を示されるが建築学科卒の経歴にはかなわない。


そもそも、注文住宅や店舗のデザインをやるような「アトリエ系」事務所は、少人数でやっているところが多いので、募集の絶対数が少ない。

有名設計事務所の求人のほとんどは「インターン」あがりか、付き合いのある建築学科の教授の推薦で決まるため、新規に募集をかけることはまずないから、たまに募集があると、そこに応募者は殺到する。

そんな中を勝ち抜いて就職するには、前の事務所で華々しい経歴を持っているか、ITスキルが抜群か。


現在は合格率が10%前後まで下がるほど難関資格になった1級建築士資格を持っていることすら、スタートラインにようやくつけるかどうかというレベルの過酷さだ。


次に、「大手」と言われるゼネコンの下請けの設計事務所にも行ってみた。

アトリエ系のようなクリエイティブな仕事はほとんどなく、図面を「生産」して、それを商品にするような組織だが、建築に関われるのなら。と受けてみた。

でも、ネックはやっぱりCAD(PCで図面を書くソフト)とイラストレーター。フォトショップといったデジタル機器の操作の苦手。

ハッタリで履歴書に「得意」と書いても、作業テストであっさりと見破られてアウト。


そんな悪戦苦闘の面接を繰り返していたが、再就職先が決まることもなく、「有給扱い」の日々も過ぎ、退職となった。

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