第67話 ニュクス王国

 港町アゴールを発ち五日くらい走り続けて、わたしたちは大きな川の近くまで来ていた。ハイマー王国の首都ベルンを目指すためには、この川を渡る必要がある。


 途中他の街に寄ることも出来たけど、通り過ぎることになった。街に寄るとベルンに着くのが遅くなっちゃうし、ケンタウロスの足が速いからまだまだ食料などに問題がなかったのだ。

 

 今はケンタウロスたちがスピードを落として歩いているので、わたしは眼前に広がる景色をちゃんと目に入れることが出来た

(普段は物凄いスピードだから、全く景色は楽しめてないの)。


 周りでさわさわと魔木が枝を動かしている。馬車の通る道から少し外れて、わたしたちは林を通っていた。

 林といっても魔木がまばらなおかげで、そんなに暗いわけでもない。昼を過ぎたくらいだからか、陽光もまだ暖かい。

 

 前方の林の切れ目から、大きな川が流れているのが見えた。川幅が長く、スリーシ川という名前。橋もかかっているけど、この川は渡れないらしい。



 太い道の方を、木の隙間からちらりと見た。ヒッポカゲの鳴き声が聞こえたのだ。どこかの馬車が来たみたい。


「あれは……ニュクス王国の馬車?」


 箱馬車は豪華な藍と金の装飾が施されていて、全体は白銀に塗装されている。大きな車輪が四つついている。

 馬車を引くヒッポカゲも白色の体だ

(ヒッポカゲはヒッポスとは違うわ。少し似てるけど、尻尾がドラゴンに似てるの。足も短くて太い。牙が生えていて、体はヒッポスより一回り大きい。ヒッポカゲも、魔道具を使って人間が使役できるようにしているのよ。馬車はヒッポカゲが引くけど、騎馬用にはヒッポスを使うの)。


 後ろと前に、それぞれ二人ずつヒッポスに乗った騎士がいる。護衛かな。そのヒッポスも、やっぱり白色。くつわだけは紺色で、対照的なその色合いはとても素敵だ。

 御者の近くにニュクス王国の国旗がある。紺色一色の国旗だ。

 


 後ろからラムズが不機嫌そうな声を出した

(今ももちろん、ラムズと一緒にヘレウェスの上に乗っているわ)。


「ハァ、めんどうな」

「面倒なの?」

「あの橋を通るからな。鉢合わせすんだろ。声をかけないといけない」

「声をかける必要があるの? 陸の人は、みんな馬車に声をかけるの?」

「……本当に何も知らねえんだな。基本的には声をかける必要はない。道でも譲っておけばいい。だが俺はあの馬車に乗ってる奴と知り合いなんだよ」


 なんだ。普通の人は声をかける必要はないのね。よかった

(基本的に人間以外の使族はどこの国にも属していない。国を作っているのは人間だけだもの。

 でもどうなのかしら。個人によってはある国に定住して、その国の市民権なんかを貰うこともあるのかもしれない。市民として登録する──とかなんとか。税金を払うんだっけ。この辺は詳しくないのよね。

 けどニンフは森に住んでいて、人魚は海の中。ケンタウロスだって街の中では見かけなかったわ。そう考えると、やっぱり人間以外の使族はほとんど市民権なんてないわね)。

 

 ラムズはヴァンピールなのに、どうやって王族と知り合ったんだろう? ニュクス王国にずっと暮らしていたのかな。けど、そうだとしても王族と知り合うなんてよっぽどよね。



「ニュクス王国は嫌だなあ!」


 ヘレウェスが前でそう声を出した。そういえばケンタウロスとニュクス王国は仲が悪かったんだっけ。


「俺がなんとか取りなすから」

「助かるよ! ラムズ!」

「ああ。メアリ、あんたは人間だってことにしろ」

「分かったわ」


 ラムズは顔を横に向けて、ヴァニラの方に声を放った。ヴァニラはちょうど、フォルティの上で酒を飲んでいたところだ。


「ヴァニラ! お前もだ。苗字は考えてあんのか?」

「それくらい分かってるのー! でも考えてないの。今考えるの。うーん、ヴァニラ・オサケなんてどう?」


 向こうで話すヴァニラに、わたしは白けた視線を送った。──やっぱり阿呆あほなんだわ。ラムズの言う通り。ヴァニラ・オサケってなによ……。

 ラムズも同意見みたいで、わたしの後ろで溜息を吐いている。


「嘆かわしいな。ヴァニラ・ポワネーとかでいっか」

「なんか阿呆っぽい苗字なの」

「ピッタリだろ?」


 ヴァニラは騒いでいたけど、残りは女ケンタウロスのフォルティが請け負ってくれた

(ヴァニラ・オサケの方がいいって? その方がたしかに覚えやすいわね。でもオサケはさすがにまずくない? 絶対偽名だってバレちゃうわよ。ヴァニラの苗字を考えているのは、人間は必ず苗字があるからよ)。

 フォルティもこの五日間、なかなか苦労しているみたい。



 それにしても、どうしてみんなを人間ということにするんだろう。わざわざヴァニラに苗字をつけるまでの徹底振りだし。


「ねえラムズ、人間じゃないと何か問題でもあるの?」

「ニュクス王国の宗教を知らないか?」

「えっとー。なんだっけ?」

悪魔デモン教だ」

「聞いたことがあるような気がする……」

「あっそう」

「教えてよ」


 ラムズは黙ったままだ。なんでこんな不親切にするの? わたしのことが好きなら、ちょっとくらい優しくしてくれたっていいのに。

 前でヘレウェスが笑って、わたしの質問に答えてくれた。


「簡単に言えば、悪魔っていう使族しぞくに異常に畏怖いふしてる宗教だ! 畏怖っていうか、怖がってるって感じか?! 『悪いことばっかりする悪魔と、人間は一番遠い存在にいよう』と思ってるんだってさ!」

「でも、悪魔って絶滅した使族よね?」

「そうだ! でもまだそれを悪魔デモン教会が公式に認めていないらしい!」


 認めちゃうと、宗教として成り立たなくなるからかしら。いないのに距離を取ろうだなんて、変だものね。

 この間の光神カオス教といい、人間って本当めちゃくちゃだわ。自分たちの思うように解釈しすぎでしょう

(光神カオス教は覚えてる? わたしはちゃんと覚えてるわよ。光の神フシューリアを一番に考えていて、好き勝手やる宗教よね。プルシオ帝国で主に信じられている宗教)。



 わたしは顔を少し後ろに向けながら、ラムズに聞いた。


「でもどうしてそれが、人間だと身分を偽ることと関係あるの?」


 一瞬反応が遅れて、ラムズが面倒くさそうに答えた。


「……悪魔デモン教は、人間以外の使族を見下してるんだ」

「あら、そうなの。光神カオス教みたいに変な宗教なの?」


 ラムズが答えないので、ヘレウェスが代わりに言った。


悪魔デモン教徒は悪事が嫌いでな、あれでも誠実に生きようとしてるんだってさ! オレからしたら、光神カオス教の方がマシだ! オレは戦うのが好きだからな!」

「そ、そっか。たしかにヘレウェスからしたら、光神カオス教の方がマシね。ちなみに人間以外の使族は殺しちゃうの?」

「殺されはしないぞ! でも嫌がらせされたって話しただろ! 殺すのは教──きょうて……きょうり……」

「教典」

「それだ! ありがとラムズ! その教典ってものに違反するんだってさ!」


 やっぱり変な宗教ね。

 というか、宗教っていうのは必ずしも神様を信仰するんじゃないのね。ある意味ただの考え方という感じなのかしら。


 それより悪魔ってそんなに酷い使族だったんだ。わたしが生まれた頃には悪魔は絶滅していたからか、全然知らなかった。一体どんな使族だったんだろう

(悪魔は闇の神デスメイラと時の神ミラームによって創られたらしいわ。闇の神が司る言葉は、真実、秩序、死、束縛とかそんな感じだったような気がする。とりあえず闇ってイメージの言葉ね。

 時の神が創造に関わると、長寿になりやすく、運命が分かるという性質を持つわ。ヴァンピールも寿命は200年でしょ。他には、ラミア、妖鬼オニ、ドラゴンも時の神が創造に関わってる。ナイトメアは知らない。創った神がよく分からないんだって)。


「悪魔はニュクス王国では嫌われていたの?」

「ケンタウロスは森の中にいて、悪魔と会うことはほとんどなかったんじゃないか?! オレが生まれた時には悪魔は絶滅してたしな! だからオレは悪魔については分からん!」

「ヴァニラは分かる?」

 

 きっとラムズはまた面倒だとか言って答えなそうだから、わたしはヴァニラに話を振った。彼女は瞳をくりくり回して、むうっと唇を歪ませた。


「ヴァニもあんまりなのー。ヴァニ難しい話、嫌いなの」

「すまん。俺は人間の中でも平民だからな、言うほど歴史には詳しくないんだ」

 

 ロミューもそう答える。

 まぁ、絶滅した使族だものね……。絶滅したのはかなり昔だったと聞いたような。


「ねえラムズ、教えてよ。ラムズしか知らないんだから」


 後ろで息を吐く音が聞こえる。


「揃いも揃って。結局俺が説明しなきゃならねえのか」

「ラムズが一番色々知ってるんだからいいじゃない」

「よくねえよ。で? 悪魔だっけ? 悪魔がいた頃の国は──、ああ、あれか。ま、かなり嫌われてたかな。腫れ物扱いというか。あいつらは基本人間以外を見下しているが、悪魔に関しての嫌悪は並大抵のもんじゃなかった」

「畏怖すべき存在だから?」

「ああ」

「悪魔ってそんなに酷い使族だったの? ニュクス王国以外でも嫌われてた?」

「知らん。人間に嫌われてただけじゃねえか? だがまあたしかに、人間からしたら面倒な使族だったかもしれねえな。人間たちを怖がらせたり襲ったり、悪戯したり、殺したり、そういうやつが多かったんだ」

「ふーん、なるほどね」

 

 また一つ賢くなったわ。ニュクス王国は悪魔デモン教。ニュクス王国は暗い雰囲気があるから、なんだか似合っているといえば似合っているわね

(話によると、ニュクス王国は夜の国のようなイメージらしいのよ。隣の真実の森トゥルーストが暗くて遭難しやすいって話したでしょ)。

 



 わたしたちは林を抜ける。すぐにスリーシ川の橋のふもとまでやってきた。同じく橋の袂に、ニュクス王国の馬車が止まっている。

 わざわざ橋の前で止まってるんだし、彼らもわたしたちと同じことをするんだろう。


 わたしたちに対して、護衛の騎士たちが露骨に顔を歪ませた。たぶんケンタウロスの方を見てだと思う。アウダーやフォルティはなんだか渋い顔をしている。



 ラムズはヘレウェスに合図をして、ヘレウェスの背中から降りた。ラムズに手を引かれ、わたしも降りる。ラムズはロミューたちにも降りるよう促した。


「【浄化せよ ── Purgaty プルガティ 】」


 ラムズは一人ずつ、順番に浄化魔法を使った


(ラムズはわざと詠唱したの。無詠唱だと人間じゃないってバレちゃうから。人間以外の使族は、詠唱をのよ。実際は、そこにも違いがあるんだけど……。

 聞きたい? 聞きたいなら話すわ。でも、こんなの知っててもいいことないでしょ。あなたの世界じゃ魔法の仕組みが違うんだから。


 そもそも、もうわたしが伝えたい話は大体しちゃったのよ。せっかくだから紹介してるってだけ。どの話だって、この世界に移住予定の人だけが覚えておけばいいわ→(*1))。


 ラムズの浄化魔法のせいで、わたしにも水がバサっとかかる。王族に会うなら綺麗にした方がいいものね。服装はもうどうしようもないけど。


 ラムズの服もこの前よりは高級感のないものだ。いつもの格好。でも普段から『海賊の王子様プリンス』風だからね。

 紺色のコートにはお洒落な金の装飾があるし、ブーツやズボンもしっかりした素材のものだ。今浄化魔法を使ったから、さらに綺麗になった。



 ラムズは面倒臭そうに銀髪をき上げたあと、瞼を閉じた。ぱっと目を見開く。


 ──まるで別人だ。


 一瞬でガラッと人が変わった。ラムズは颯爽と馬車の方へ近付いて行く。


 さっき洗ったから服が綺麗になったとはいえ、向こうの騎士たちの服と比べたら安物の服なはず。

 それなのに、なぜか立派な身なりのように思える。つまりそれくらい、彼が本当の騎士みたいに堂々とした雰囲気なのだ。



 二人の騎士がヒッポスをラムズの方に向けた。かなりラムズを警戒している。

 騎士たちは紺のマントを羽織っていて、長いコートには金色のボタンが二列に並んでいる。やっぱり騎士って、服は格好いいわね。

 

 ラムズは膝を折ってこうべを垂れた。

 片方の騎士が少し近付く。

 彼の水色の髪は左側がねじり上げられていて、ピンで止めてある。どこか新人っぽい空気も感じるけど、放たれたのは凛とした声だ。


「名を名乗れ」

「ラムズ・ジルヴェリア・シャークと申します。殿下にご挨拶をと思い、こちらに参上致しました」


 ラムズが敬語を使ってる! しかもラムズが頭を垂れるなんて。

 でも今まとっている雰囲気や話し方を考えると、全く違和感はない。この前と同じだ。わたしに酷く優しくしてくれた時、それもラムズなんだと錯覚したのと同じ。

 本当に雰囲気を操れるの? まぁでも、5000年も生きてるならたしかに……。


「どこの貴族だ」

「ニュクス王国の陛下から、男爵だんしゃく爵位しゃくいたまわりました」

「男爵ごときが殿下とまみえることが可能と思うか! 無礼者! 去れ!」

「かしこまりました」


 ラムズは腰を上げると、こちらの方に向かって歩いてくる。わたしと目が合って、口角をくいっと上げた。なんだか面白がっている。

 それにしても、断られてるけどいいのかな? 何だったんだろう。



 騎士はブツブツ文句を言いながら、またヒッポスを元の向きに戻した。でも、そこで馬車の中から声が上がる。


「ワリドー!」

「なんだ」


 ラムズの受け答えをしていた騎士が、ヒッポスを動かして馬車の側に寄った。何か話しているみたいだ。そして騎士は途中で瞠目どうもくして、馬車から離れる。


「シャーク男爵。殿下がお呼びだ」

「ああ、分かった」


 ラムズの口調が変わった。

 でも、さっきのような堂々とした態度は変わってない。話し方が少し違うだけだ。


 殿下ってことは、お姫様か王子様? その人と知り合いだから、ラムズは騎士の彼と対等の立場になったのかしら。

 というかラムズって貴族だったのね。男爵っていうのは、貴族の称号だったはず。この騎士も男爵なのかしら


(わたしも男爵とか貴族の称号には詳しくないの。分かるでしょ? あ、でも、戦士ナイトのことなら少し知っているわ。

 まず大前提として、戦士ナイト戦士ナイトギルドで訓練して取得する称号なの。戦士ナイトにはいくつか種類があるわ。


 魔士ましが魔法に特化して戦う者。騎士は基本剣を使う者のことを指すわ。

 ‎王族などの護衛を任されるのは、騎士や魔士。騎士と魔士のその上の級位きゅういが、聖騎士と聖魔士よ。


 聖騎士や聖魔士は明らかにもっと服装が豪華だと思うから、そこの彼らは騎士だと思う。

 なんでこんなこと知っているかって? 仕事の一つとして、陸に来た時考えたことがあったからよ。


 まだ知りたいの? 分かったわよ。戦士ナイトになりたいのね。訓練頑張って→(*2))。



 ワリドーと呼ばれた騎士が、ヒッポスから降りた。ふわっとマントが舞う。彼は金の瞳を細めて、ラムズに対して握手を求めた。


「ワリドー・レトラウス・ネルアンだ。さっきはすまなかった。私も男爵だ。今は騎士として、殿下の護衛をしている。以降、よろしく頼む」

「こちらこそ」


 長い名前、絶対覚えられそうにない。

 ワリドーはラムズに背を向けて、馬車の扉を開けた。透き通る水色と白のドレスの裾が、馬車から覗く。ワリドーは彼女の手を取って、馬車から降ろした。


 素敵なお姫様だ。藍色の長髪の上のティアラは、まるで夜空に輝く星のよう。真っ白な肌と金の瞳、華奢な体つき。ドレスは胸元が開いているけど、清楚な印象は薄れない。

 彼女は潤んだ唇を小さく開けた。


「ラムズ、ごきげんよう。ようやく私の護衛をする気になってくれたの?」


────────────────


*1(じゃあお望み通り、人間以外の使族が詠唱するときとしない時の違いを話すわ。


 まず、咄嗟とっさに魔法を出す時は無詠唱よ。何も考えずに使えるから。だからテキトウに魔法を放つ時も無詠唱ね。


 逆に難しい魔法だと咄嗟に出てこないから、詠唱する。新しい魔法を習得する時も、詠唱して体に覚え込ませる。

 でも、慣れれば詠唱なしで難しい魔法を使うこともできるわ。たぶんラムズは、どんなに難しい魔法でも無詠唱で使えると思う。


 じゃあ難しい魔法を使う時は、詠唱をした方が得なのか──だけど。


 詠唱っていうのは魔法の『調整や縛り』みたいなものなの。詠唱をすることで、魔法をカチッと決める、みたいな? わたしも上手く言葉にはできないわ。

 例えば無詠唱で氷柱つらら魔法を使う時は、ある意味テキトウなのよ。氷柱の本数、その大きさや威力なんかはあんまり考えてない。


 そうね……魔法は長い筒を通って出てくるイメージなの。その筒の大きさや形を決めるのが詠唱。

 無詠唱の時は大きさや形を決めることや、なんでもいいから魔法を出すだけっていうことができるの。でも魔法が得意な人は、無詠唱でこの形や大きさを、かなり丁寧に精密に作ることができるわ。


 詠唱は命令とも言える。『こんな形でこんな大きさ、この威力、このスピードでお願いします』っていう命令を端的に示したもの。

 無詠唱でもこれと全く同じことができるけど、その場合は頭の中で一つずつ組み立てていかないといけないのよ。


 だから難しい魔法を使う時でも、『精度の高い魔法を使いたい』なら、詠唱した方がいいわ。

 あとは、イメージしなくても、ある程度は詠唱で勝手に魔法が決定されるっていう長所もあるわね。頭でごちゃごちゃ考えて無詠唱で魔法を使うよりは、詠唱でビシッと決めちゃった方が楽なのよ。


 それ以外に、人を殺す時なんかに、時間があれば相手を思ってあえて詠唱する時はあるわね。わたしだけかもしれないけど。『最後くらい丁寧に殺してあげるわ』みたいな気持ちよ。礼儀正しいでしょ? 


 人間以外の使族の魔法詠唱について、まとめるとこんな感じ。


 咄嗟に出てくるのは無詠唱。

 テキトウに済ませたい時は無詠唱。

 その魔法を使い慣れていない時は詠唱。

 面倒なことを考えずに、ビシッと決まった形を使いたい時は詠唱。

 時間が余ってて、丁寧に魔法を使いたいと思ったら詠唱。


 まあ、あんまり深く考えない方がいいわ。詠唱をするとかしないとかは、もう個人の好きだから。その人なりのルールがあるのよ。


 ただ一つ言えるのは、人間は絶対に詠唱をしなきゃいけないってこと。だから人間のフリをするためには、必ず詠唱をする必要がある。今回はそういう理由で、ラムズは詠唱したのよ)




*2(戦士ナイトは多くが貴族だけど、一応誰でもなれる。戦士ナイトギルドというギルドがあって、そこに登録するの。

 でもギルドに入るには試験があるから、ほとんど貴族しか入れないと思うわ。試験では血筋が見られるから。名を挙げた冒険者なんかなら、もしかしたら入ることが出来るかもしれないけど。

 ‎入れるのは人間だけよ。少なくとも見た目が人間じゃない人は諦めて。

 ‎

 戦士ナイトギルドでは位があって、一番上が聖騎士と聖魔士せいまし。次が騎士と魔士。その下は従士じゅうし、その下はたしか弟士ていしだっけ。


 戦士ナイトギルドは、ある意味騎士を作るための学校みたいなものね。冒険者ギルドとは違って、国ごとにそれぞれ戦士ナイトギルドがあるわ。


 従士はもたまに街で見かけるけど、服装はあんなに立派じゃない。弟士はほとんど子供ばっかりだったと思う。だから戦いには出てこないの)

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