第四章 本気でかからないとつぶされるわよ

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 すごい。

 百メートル上空からの景色に、僕は目を奪われていた。見渡す限りの荒野。左手には砂漠が、右手には低い茂みが広がっている。前方には町並みが小さく見えた。

「ねぇ、本当に地面は丸いの?」

 僕の質問に、前の座席に座っているヨミが振り返って答える。

「丸い。この高さでは分からないがな。私たちは丸い星の上に住んでいるんだ。もっと上空から見ると地平線が丸く見えるぞ」

 僕たちを乗せたMA(Mobile Automaton)は再び地上へ降下していった。


 マックスが死んだ翌日、彼の葬儀がひっそりと行われた。埋葬に立ち会ったのは僕たちと、マックスを昔から知っていた数人の町の人だけだった。棺は彼の母親の墓の隣に埋められた。

 あのあと、集まった人々はあっという間に逃げ去っていった。これでまたしばらくよからぬ噂が立つ――バーニィはそういって肩を落とした。

 マックスの飛行機ように、僕たちが新しい技術を発明したり、何かを進歩させようとしたとき、ファントムたちはそれを阻止してきたそうだ。再び誰かがそれを試みようとする気持ちにならないような効果的な方法で。


 マックスを弔った次の日、僕たちはヨミの拠点の鉱山跡に向けて出発した。砂漠に乗り捨てられていたMAは砂嵐で着地に失敗して置いてきたそうだ。もともとメイソンの町に寄って、マックスの護衛を行う予定だったらしい。

「あまり人目につくとまずいからな」

 ヨミの言葉はどこかいい訳がましい。僕たちはMAのところまで馬を引いて歩いていた。

「でも、マッコイ爺さんと僕の家の上にまともに墜落してたけど」

 僕の言葉にキャットが答える。

「あの機体はおかしらが操縦してたからな。おかしらの操縦がこれまたへったくそで――」

「うるさい。それと、そのおかしらっていうのはやめろといってるだろ」

「へい、すいません、おかしら」

「まったく……」

 そうこうするうち、僕たちはMAのところにたどり着いた。

「で、誰が私とこれに乗るのだ?」

 ヨミが問いかけると、みんながいっせいに僕を見た。

「え。僕?」

 バーニィとTBはさっさと馬にまたがった。

「心配するな、チェスはちゃんとみてやる」

「いや、そういうことじゃなくて」

 キャットが僕の肩をぽん、とたたいた。

「骨は拾ってやる」

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